食物アレルギー患者を効果的に診るには?当院が実践する5つの秘訣。

子どもの食物アレルギーでお悩みのご家庭は多いと思います。

食物アレルギーの診療は「薬を出してハイ終わり」ではありません。
負荷試験のタイミング、摂取量の設定、合併するアトピー性皮膚炎や気管支喘息のコントロールなど、診療内容は盛りだくさんです。
一つ一つの食物アレルギーに対して、適切な方針を示すことは時間のかかることです。

今回は、食物アレルギーの患者さんを効果的に診るために、私が実践していることを書きます。

外来負荷試験のための導線

食物アレルギー診療の要は「食物経口負荷試験」です。
食物経口負荷試験とは、「アレルギーであるもの・アレルギーかもしれないものを、病院で実際に食べてみる検査」です。

この検査を安全に、かつ効果的に行えるかどうかが、アレルギー専門医の腕の見せ所です。

私は、この負荷試験をできるだけ日常診療中にナチュラルに実施する方法を考えていました。
そして「診察室との導線」が重要であるということに気づきました。

 

診察室のすぐ隣に負荷試験室を作る。
これにより、負荷試験をしながら日常診療をすることが可能になりました。

診療中も負荷試験中の患者さんの気配や様子をこまめに確認することができます。

オンライン診療

アレルギー診療を実施するための時間を確保する。
それには、状態が落ち着いている患者さんを「オンライン診療」に移行する必要がありました。

オンライン診療を夜など診療時間外に実施することで、日中の時間をアレルギー診療に回すことができます。

医師の確保

経口負荷試験は「アレルギーであるもの・アレルギーかもしれないものを、病院で実際に食べてみる検査」です。
どれだけ慎重に行っても、全身性のアレルギー症状である「アナフィラキシー」を起こす可能性があります。

診療中にアナフィラキシーが起きた場合、医師一人では対応できません。
通常診療を行いながら、アナフィラキシーを安定化させつつ、場合によっては二次病院へ搬送する必要があります。
これを一人の医師で行うことは不可能です。

そのため、負荷試験を安全に行うには「医師2人による診療」が必要だと考えています。

当院は現在、私の父も勤務していますので、医師2人による診療を実現できています。
今後を考えると、小児科医・内科医の医師がさらに必要です。

これを読んでくださった医師の人がいましたら、ぜひ当院で一緒に働いてくださると助かります。
facebookまたはXで声をかけてください。

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刻みすぎない負荷試験ステップ

負荷試験をできるだけ刻んで、少しずつ量を増やしていった方が、安全に思うかもしれません。

しかし、それでは多くのアレルギー患者さんを診ることはできません。
たくさんのアレルギー患者を診るという当院の使命と反してしまいます。

さらには、自宅でゆっくり増やすよりも、段階的に病院で負荷量を上げる方が安全で効果が高いことが示されています。

食物経口負荷試験は「家で少しずつ増やして」より有効か?

2022年1月23日

上記の論文では、卵白を2g→5g→10g→20gと増やしています。
自宅で0.5gずつ増やすよりも安全かつ効果的だったようです。

当院では、できるだけたくさんの患者さんにできるだけ安全で効果的な負荷試験を行うために、段階的な負荷試験を提案しています。

負荷試験のステップは診察室に掲示しています。
これにより、負荷試験の説明だけでなく、現状の確認、ゴールへの認識共有なども同時にできます。
質の高い食物アレルギー診療ができます。

負荷試験食の常備

開業医の良さは、フットワークの軽さだと思っています。
思い立った時に負荷試験ができるというのが強みです。

そのため当院では負荷試験食を常備しています。

  • たまこな
  • リンゴジュース(たまこなに使用)
  • 卵白5g(妻が冷凍してくれている)
  • ムーンライトクッキー(ときどき娘に食べられている)
  • 牛乳(イオンで購入。約2か月大丈夫)
  • 冷凍うどん(切って使う)

負荷試験の機会を広く提供できることは重要だと思っています。

まとめ

食物アレルギー診療、特に負荷試験を効果的に、効率よく行うコツを書きました。

  • 外来負荷試験のための導線
  • オンライン診療
  • 医師の確保
  • 刻みすぎないステップ
  • 負荷試験食の常備。

子どもの食物アレルギーを相談する場合、小児科が適切です。
ですが、近年のアレルギー学の進歩は目まぐるしく、どんどん新しい知見が出てきています。
そのため、知識がアップデートされていない小児科もあります。

私はアレルギー専門医ですので、アレルギーについての勉強は頑張っています。
できるだけ多くの人に、食物アレルギーに対する適切な方針をお伝えすることは、当院の使命だと考えています。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。