医学生の地域医療体験実習と指導医のコメント。

医学生は5年生か6年生のときに「地域医療医療体験」という実習をします。

私も6年生の夏に月ヶ瀬村というかつて奈良県に存在していた村に実習に行きました。
たった一人の医師が子どもから大人まで、風邪から怪我まで、すべてを診療していたということと、蛍がきれいだったことを覚えています。

月ヶ瀬村(wikipedia)

月ヶ瀬村には負けますが、当院もなかなか立派な地域医療を経験できます。
いわゆる「田舎」です。

そのため、地域医療体験として学生が実習にやってきます。
縁があって、毎年金沢医大の学生がやってきます。

今回は、地域医療を体験したIさんの感想文を紹介します。

医学生の地域医療体験実習の感想

兵庫県立柏原病院の皆様、1週間本当にありがとうございました。

先生方、看護師の方、事務の方全員が親身にそして優しく接してくれ、とても充実した1週間を過ごさせて頂きました。
その中でも、岡本先生には大変お世話になりました。

1週間のほとんどの時間を岡本先生と過ごさせて頂きましたが、外来のやり方から採血のやり方、小児科医として大切なことなど、色々なことを教えて頂きました。
たくさん教えて頂きましたが、特に心に残っているのは、育児の大変さが分かったことです。
この1週間、岡本先生の外来で多くのアレルギー疾患を持つ患者さんを見ることができました。
現在日本ではアレルギーの患者さんがたくさんいることは今までにも教科書で勉強したことがあったので知っていましたが、今回その背景にはお母さんの苦労もかなりあることを知ることができました。

そして、お母さんたちに「とても頑張っていらっしゃいますね」と必ず声をかけている、岡本先生もとても素敵だなというふうに思いました。
教科書では勉強できないけど、とても大切なことを学べた1週間でした。

順調にいけば来年医者になれますが、今回の実習で学んだことを大切に、僕も柏原病院小児科の先生たちのような素敵な医師になりたいと思いました。
1週間本当にありがとうございました。

医学生Iさんの感想

指導医からのコメント

とても積極的な学生でした。
私の採血中も食い入るように覗き込んできて、その体が影になって正直やりにくいと思えるくらいに熱い気持ちを持って実習に臨んでくれました。

私が学生のときは、「指導医の先生にできるだけ迷惑をかけないようにしよう」と思いながら実習をしていたので、私自身は消極的な実習をしていました。
ですが、私の実習態度はよくなかったのだと今では痛感します。
Iさんのように、どんどん積極的に参加してください。
本当に邪魔だったら、指導医が「ごめん、1歩下がってもらっていい?」と言いますので、そう言われない限り、どんどん前に出て覗き込んでください。

田舎の病院は、スタッフも患者さんも優しくおおらかな人が多いです。
医学生にとっても、若い研修医にとっても、患者さんと関わりやすいと思います。
田舎の温かさに触れてもらえて良かったと思います。

私の患者数が多く、外来中はあまり指導できなかったのですが、その中でも大切なことを見出してくれていて、嬉しかったです。

確かに、私は患者さんを褒めます。
実際に吸入したり塗ったりするのは保護者です。
そして子どもに毎日吸入させたり、全身に薬を塗ったりすることはすごく大変なことです。
医師はただ薬を処方するだけです。
患者さんが治療の主体であるということを常に意識してください。

余談ですが、字がきれいですね。
驚きました。

医者になるまでも大変だったと思いますが、なってからも大変です。
でも、すごくやりがいのある仕事です。
これから先の長い医者人生の中で、少しだけでもいいので地域医療にも参加してくれると嬉しいです。
立派な医師に成長してください。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。