たかし君は7歳、小学校1年生の男の子です。
今は2月です。
学校では一時期よりは減っているものの、まだまだインフルエンザが流行っています。
発熱1日目
ある夜、たかし君の元気がありません。
ご飯を食べたくないと言うのです。
熱を測ると、39.0℃もあります。
たかし君は熱が高いものの、水分は摂れます。
ただ、お茶を飲むときに「のどが痛いー」と言います。
インフルエンザは熱が出てすぐ検査しても、分からないということを聞いたことがあります。
お母さんは今晩は様子を見ることにしました。
発熱2日目
翌朝、お母さんはたかし君を小児科に連れていきました。
先生は、胸の音を聞いた後、口の中を診ました。
6歳以上の場合、胸の音がきれいでも、しつこい咳があれば、マイコプラズマの可能性があります。「胸の音はきれいなので肺炎ではないでしょう」と言っていいのは、せいぜい3歳までです。
典型的なマイコプラズマ肺炎の症例は、こちらの記事に書きました。同じ7歳ですが、溶連菌とは経過がぜんぜん違います。あとで読んでみると、参考になると思います。
先生は、細い綿棒をたかし君の鼻に入れ、インフルエンザの検査をしました。
20分ほどして、検査結果が出ました。
お母さんはインフルエンザだと思っていたので、安心したような不安なような複雑な気持ちになりました。
たかし君は家でも相変わらず39℃くらいの熱が続きました。
しんどそうではありましたが、水分は摂れ、夜も眠れていましたので、解熱鎮痛薬は使いませんでした。
発熱3日目
翌朝も熱が続いています。
お母さんはたかし君を再び小児科に連れていきました。
いわゆる学童期の発熱では、インフルエンザ、アデノウイルス、溶連菌の迅速検査3点セットになりがちです。なお、乳児の場合、インフルエンザ・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルスの3つを迅速検査したくなりますが、保険の問題でどれか2つまでしかできませんので注意です。
インフルエンザと溶連菌を同時に検査した症例として、こちらの記事も参考にしてください。こちらでは、インフルエンザが陽性になっています。
たかし君はインフルエンザの検査で鼻をぐりぐりされたあと、アデノウイルスの棒と溶連菌の棒でのどの検査を2回されました。
その後の経過
抗生剤を飲んで、たかし君は翌日には熱が下がりました。
学校には熱が下がったその次の日から行きました。
抗生剤を10日間飲んで、その後の尿検査にも異常はありませんでした。
症例のまとめ
- 7歳の子どもが高熱で発症した。
- 当初はインフルエンザやカゼが疑われたが、発熱3日目に溶連菌性咽頭炎と診断された。
- 抗生物質で速やかに解熱した。
- 解熱した翌日には元気に学校に行った。
- 抗生剤は10日間内服し、2週間後には尿検査で急性糸球体腎炎がないかチェックした。
溶連菌は、とてもありふれた疾患ですが、臨床的には診断しづらいです。
私もアデノウイルスなら咽頭所見のみでかなりの確度で当てられますが、溶連菌は古典的な猩紅熱でない限り、検査してみるまで分かりません。
溶連菌は小児科医泣かせだと私は感じています。
よろしければこちらの記事も読んでみてください。