「子どもの診かた、気づきかた」には、5つの楽しみ方があります。
今回は、使い方、伍ノ型について書きます。
このページの目次です。
壱ノ型:所見殺しのプレチェック
NCPRでは、最初に「プレテスト」をしますよね。
自分が今、どれくらいの知識があるのかを確認することで、その後の授業に気合が入ります。
ちなみに、私はNCPRのAコースを20回くらい開催しましたが、今までの受講生の最低得点は4点でした。
4択問題25問で、どうしたら4点という点数が取れるのか不思議ですが、それでも4点でした。
「これはすごい受講生が来た」と、私はインストラクターとして震え上がりました。
そんな波乱のプレテスト的なものが、「子どもの診かた、気づきかた」にもあります。
それがプレチェックです。
Q1:発熱4日目、全身状態が良い2歳児。血液検査は必要?
「まずはプレチェックで理解度Check」なんて可愛く書いてありますけれど。
きっと多くの小児科医がこう言うでしょう。
「これだけの情報で、血液検査の是非を決められるわけがない」と。
その通りです。
あまりにシンプル過ぎて、逆に超難問となっているのが、本書のプレチェックです。
知識の確認とか、気合が入るとかの次元ではありません。
正直、「無理ゲー」で「不適切問題」と感じると思います。
でも、他にどんな情報が必要ですか。
バイタルサイン?
聴診所見?
既往歴?
周囲の流行?
看護師の忙しさ?
親の希望?
それらを「総合的に」「ケースバイケースで」判断するのでしょうか?
私はこの「総合的に」とか「ケースバイケースで」とかほど、あやふやな基準はないと思っています。
便利な言葉なので、ついつい使ってしまう気持ちも分かるのですが。
でも、全然明確じゃない。
少なくても、子どもをあまり診たことがない研修医や総合診療医にとって、「総合的に、ケースバイケースで判断するのですよ」という指導は、結局のところ適切に判断できないように思います。
だから、本書はできるだけ明確に書きました。
このプレチェック、最初はシンプル過ぎて「所見殺し!」とすら思えるはずです。
ですが、本書を一通り読んで、2週目に突入したら、余裕で答えられると思います。
本書を読み終えてから、是非2週目でもう一度プレチェックを振り返って欲しいです。
弐ノ型:平凡な医師たちの日常
続きまして、1年目、4年目、12年目の医師たちによる日常が語られます。
会話文形式です。
これが本文であり、本書の中心なのだろうと思います。
まずは弐ノ型だけさらっと読んでいけば、全体像がつかめると思います。
「お前はそれでいい、一つできれば万々歳だ」
そんな言葉が聞こえてきそうです。
善逸が使えたのは壱ノ型ですが。
途中で「ここで問題!」と唐突に問題が挿入されます。
個人的には、1週目はこの問題はスキップしてしまうことをお勧めします。
医師たちの日常の流れが、ぶった切られるんですよね。
空気読めるのか読めないのか、というコントについても後に語られますが、「ここで問題!」は確実に空気読めていない。
ただし、スキップするのは問題だけにしてほしいです。
物語の展開は大切で、特にあだち先生の成長っぷりには配慮しました。
あだち先生は2021年11月1日から11月30日までを小児科研修した設定になっており、曜日や祝日などの設定もしっかり反映させてあります。
そして、2週目では是非問題も目を通してください。
物語の流れはすでに頭に入っているでしょうから。
問題を解く余裕が生まれているはずです。
なお余談ですが、日常のネタが若干古いんです。
言い訳すると、原稿を書いていたのが2020年2月から10月までだったためです。
私も今が13年目、もうすぐ14年目ですが、作中では12年目です。
当時は鬼滅ブームだったのですが、今だったら呪術廻戦ネタのほうが多かったはず。
死語として使った「ぴえん」が、もはや死語としての認識すらされないレベルです。
参ノ型:苦心した腕試しテスト
本書は3パート構成です。
- 発熱
- 呼吸器(咳嗽・鼻汁)
- 消化器(腹痛・下痢・嘔吐)
各パートの終わりには、腕試しテストがついています。
1週目は、完全スルーでいいと思うんです。
会話文だけ追いかけて、物語をつかむのが大切なので。
ただ、2週目は是非解いてほしいです。
というのも、このテスト。
作るのがかなり面倒でした。
でも、本書の企画は「問題文多めで」というコンセプトが最初に決まってました。
というか、「抗菌薬ドリルみたいな本を」という注文で、企画がスタートしました。
企画上、この腕試しテストこそ真のコンセプトであり、決して手を抜くことができません。
医師国家試験の問題を読んだり、自分の書いた原稿を繰り返し読んだりしながら、なんとか作ったテストですので、2週目は是非解いてほしいです(2回目)。
肆ノ型:荻野先生特製フローチャート
フローチャートは、付箋を貼って欲しいポイントです。
本当によくできてるなあ、荻野先生GJと感心します。
ちなみに、荻野先生とあだち先生は、企画段階では「デキレジ」と「ダメレジ」という2人組だったのですが、レジデント2人もいらないし、というか1人は初期研修医じゃないとということで、デキレジとデキ研修医になりました。
あだち先生は、研修医としてはすごく立派だと思うのですよ。
荻野先生は、何人かの知り合いの先生の性格が混じり合って、いくつかの属性を持つようになりました。
近道思考で、後輩思いの、良いレジデントです。
「これ私ですよね!」という人がいましたら、たぶん正解です。
許可取ってなくて、ごめんなさい。
1週目では、フローチャートは付箋貼って、さらっと眺める程度でいいと思います。
2週目でテストを解くときに、フローチャートを使ってもらたえら嬉しいです。
伍ノ型:小児科ファーストタッチとリンク
ファーストタッチの①発熱、②咳嗽・鼻汁・喘鳴、③腹痛、④下痢・嘔吐の合計52ページを噛み砕いて1冊の本にしています。
だから、紙面的にはかなりゆとりを持って書けました。
それでも、ファーストタッチのほうが詳しく書いた箇所もあります。
続きはファーストタッチで、という形でリンクしておきました。
どちらも併せて読むことで、さらに深まるような構成になっています。
ただ、ファーストタッチと突き合わせて読むのは2週目ですね。
ここまでの流れで読めているとは思います。
小児科ファーストタッチの内容と唯一変わってしまったのが、3か月未満の発熱における髄液検査の基準です。
ロチェスターもシンプルで好きなんですけれどね。
研修医にはロチェスターでもいいかなと思いつつ、研修医はそもそも3か月未満の発熱を診ないというジレンマも抱えつつ。
このあたりのジレンマも本書に書きました。
おかげで、3か月未満の発熱の項は、長くなってしまいました。
×2:強くてニューゲーム
ここまで、さらっと1週目を読めましたか?
是非2週目を読んでください。
1週目では読み飛ばした問題やリンクも飛ばさずに読んでください。
1週目で強くなったステータスは、2週目でもそのまま引き継がれますので、難なく読めると思います。
2倍楽しめる構成になっていると思います。
さらに余裕があれば、注釈やコラム、後日談など、追加コンテンツも見てください。
このあたりは趣味です。
ブレス オブ ザ ワイルドに例えるなら、コログ集めみたいなものです。