乳房腫大で外来を受診されるケースは時々経験します。
このケースは4パターンに分けられます。
- 生まれたばかりの赤ちゃん
- 生後6か月から3歳までの女の子
- 6歳から8歳までの女の子
- 10歳から15歳の男の子
疾患の詳しい知識については以前記事を書きましたので、こちらも併せてお読みください。
今回は7歳の女の子のケースについて具体的な症例提示をします。
乳房腫大の症例提示
さきちゃんは7歳の女の子です。
生来健康で、背の高さもクラスで真ん中くらいです。
胸が膨らんできた?
さきちゃんのお母さんは、さきちゃんと毎日一緒にお風呂に入ります。
最近、さきちゃんの胸が少し膨らんできたような気がします。
さきちゃんはまだ小学校の1年生です。
まだ胸が大きくなるには早い気がします。
お母さんは少し様子を見ることにしました。
半年後
さきちゃんの胸は大きくなったままです。
どんどん大きくなるわけではありませんが、左胸だけ膨らんでいます。
乳首を触ると、しこりも触れます。
インターネットで調べると「思春期早発」という病気を見つけました。
思春期が早く始まって、背がぐっと伸びたあとに成長が止まり、結果的に低身長になってしまうようです。
そして、脳腫瘍が原因となりうると書いてありました。
お母さんは不安になって、さきちゃんを小児科に連れていきました。
小児科を受診
小児科の先生は、母子手帳とお薬手帳を確認しました。
小児科の先生は全身の皮膚を観察した後、胸と陰部の状態を診察しました。
お母さんは不安な気持ちを小児科の先生に伝えました。
検査結果
1週間後、採血検査を聞きに小児科に訪れました。
先生の説明に、お母さんは安心しました。
症例のまとめ
- 7歳で胸が膨らみ始めたため小児科を受診した。
- 診察上、胸が膨らんでいる以外の異常がなく、おそらく早発乳房だろうと診断された。
- 医師からは成長の経過観察をすると言われた。
- 念のため採血検査を受けたが、異常はなかった。
補足
検査の結果、早発乳房ではなく思春期早発であったとしても、7歳の早発乳房は必ずしも治療が必要というわけではありません。
正常の思春期が少し早まったもの、という解釈もできます。
治療をすることで、身長を少しだけ大きくできますが、その効果は小さく、強く奨められているわけではありません。
いっぽうで、体の変化に心がついていけないときは、精神的な動揺を防ぐために治療することもあります。