NCPRに使える聴診器。シミュレーション教育で大切なリアリティを高める。

2018年7月16日(海の日)に兵庫県立柏原病院で新生児蘇生法講習会を行います。
去年から開催し、これで第4回NCPRです。

シミュレーション教育はリアリティが大切だと私は感じています。
リアリティのないシミュレーションは、結局現場で役立たないのではないかと危惧しています。
その理由はこちらの記事に書きました。

NCPR。頭では分かっていても手が動かない問題。

2017.11.21

今回は、NCPRの臨場感を高めるために、心音が聞こえる聴診器を作ってみました。

心音とNCPR

生まれたばかりの赤ちゃんを蘇生するとき、心音は極めて大切です。
心拍数が100回/分未満では、有効な呼吸が出来ていないと考えられ、人工呼吸をしなければなりません。
また心拍数が60回/分未満では、有効な循環もないと考え、人工呼吸に反応しない場合は胸骨圧迫(いわゆる心臓マッサージ)を行わなければなりません。

赤ちゃんの心拍数が140なのか、80なのか、50なのか。
これによって、救命の行動が変わってきます。

心拍数を評価するためには、聴診器で心音を聞くことが大切です。

今までのNCPRの心音の問題点

私は今までNCPRシミュレーションサポーターを使って、受講生に心音を伝えていました。

ただ、これには問題点がありました。
聴診器を使っていない受講生にも、心音が聞こえてしまうのです。

新生児蘇生はチーム医療です。
聴診器を使うメンバーもいれば、その間も人工呼吸を続けるメンバーもいます。

現場では、聴診器で心音を聞くメンバーの責任は重大です。
その心拍数によって、救命の行動が変わるからです。

ですが、今までの私のNCPRでは、心音がチーム全員に聞こえてしまうため、聴診器係の責任が十分に伝えられないシミュレーションになっていました。

実際に心音が聞こえる聴診器

青森県立中央病院の成育科ブログに「新生児蘇生法講習会用Bluetooth聴診器セットの作り方」がありました。

これはすごい、さっそく作ってみよう。

そう思って、私も真似してみました。
いわゆる追試実験です。

聴診器シリコン製ワッシャーBluetoothイヤホンをamazonで購入しました。

聴診器は安いので十分です。
むしろ安いほうが、管が柔らかくてカッターナイフで切りやすいです。

私はこの聴診器を買いました。

この聴診器にカッターナイフで穴を空けて、そこにシリコン製ワッシャーを貼り付けます。

貼り付けたい場所に、シリコン製ワッシャーを置きます。
このワッシャーを強くお勧めします。

なぜこれをお勧めするかというと、次に紹介するBluetoothイヤホンとベストマッチするからです。

シリコン製ワッシャーの内径に沿って、ペンで円を書きます。
その円に沿って、カッターナイフで穴を空けます。

穴が開きました。
上図は結構しっかりと穴を空けてしまいましたが、実はもう少し小さい穴でも大丈夫です。

シリコン製ワッシャーを先ほどの穴に合わせて貼り付けます。
ゴム同士をくっつけるのに適した瞬間接着剤を総務課で借りてくっつけました。
ゴムとシリコンは非常によくくっつきます。

そこにBluetoothイヤホンを取り付けます。

親指より小さいです。
私はこのDonha社製のイヤホンを買いました。

このイヤホンは先ほど紹介したシリコン製ワッシャーと完全にフィットします。
ただ、3か月前には片耳のみで売られていたのですが、本日確認したら両耳セットになっていました。

たぶん、他のイヤホンでもサイズは合うと思うのですが、責任取れません。

こんな感じでジャストフィットです。
接着剤を使わなくても、しっかりはまり込みますので、イヤホンは外れません。
なお、イヤホンの先端のイヤーピースは外してください。
(イヤーピースがあると、聴診器の中に入りません)

充電するときは、イヤホンを外して充電すればよいです。
接着剤を使っていませんので、外せます。
(シリコン製ワッシャーごと外さないように注意です)

できあがりました。
スマートフォンの音声が聴診器で聞けます。

あとはスマートフォンでNCPRシミュレーションサポーター作動してもいいですし、メトロノームアプリを起動してもいいでしょう。

まとめ

シリコン製ワッシャーとイヤホンのサイズが合うかどうかがクオリティを決めます。
他のイヤホンでも合うかどうかが今後の課題です。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。