第111回医師国家試験の問題500問を解きました。
私が受けたのは第103回でしたので、8年ぶりに医師国家試験の問題を解いたわけです。
「もう国家試験の問題なんて、解けないんじゃないかな」と思いながら500問解いてみたのですが、意外と解けました。
おそらく、国家試験の問題が臨床重視になっており、臨床医であれば知っていることがそのまま問題になっているからだと思います。
医師国家試験が臨床重視になっていく傾向がいいのか悪いのかは議論が必要です。
医学部を卒業した医学生が、臨床現場に医師として勤務できるかどうかを判定するのが医師国家試験であるので、問題が臨床的であるのは当然だという考えはあるでしょう。
いっぽうで、臨床的知識は医師になればおのずから身につくので、医師国家試験で臨床的知識を問う必要はないという考え方も成り立ちます。
どちらの意見ももっともなのですが、私はあえて前者の態度をとります。
国家試験に合格し、春から医師として働く者には、一定の臨床的知識が備わっていることを担保されていなければなりません。
そのための評価として、医師国家試験があるべきだと思います。
このページの目次です。
- 1 臨床に役立たない医師国試の悪問
- 1.1 111A17
- 1.2 111B8
- 1.3 111B10
- 1.4 111B32
- 1.5 111B45
- 1.6 111C24
- 1.7 111D1
- 1.8 111D9
- 1.9 111D10
- 1.10 111D13
- 1.11 111D24
- 1.12 111D32
- 1.13 111D43
- 1.14 111E2
- 1.15 111E6
- 1.16 111E25
- 1.17 111E43
- 1.18 111E58
- 1.19 111F11
- 1.20 111F15
- 1.21 111F17
- 1.22 111G7
- 1.23 111G8
- 1.24 111G28
- 1.25 111G33
- 1.26 111G45
- 1.27 111G54
- 1.28 111I24
- 1.29 111I30
- 1.30 111I37
- 1.31 111I38
- 1.32 111I56
- 1.33 111I57
- 1.34 111I60
- 1.35 111I68
- 2 第111回医師国家試験の悪問まとめ
臨床に役立たない医師国試の悪問
国家試験の問題を、以下の2種類に分けます。
- 良問の定義:研修医が知っていると、現場で役立つ知識。
- 悪問の定義:研修医が知っていても、現場で役立たない知識。
第111回医師国家試験では、小児科医が主導となりうる問題が72問ありました。
そのうち37問は、臨床に役立つ良問に分類しました。
これについては、前回の記事を参照ください。
今回は、良問に選ばれなかった悪問35題について言及します。
111A17
難治性の場合に摘脾の適応となるのはどれか。2つ選べ。
a.悪性貧血
b.赤芽球癆
c.骨髄異形成症候群
d.自己免疫性溶血性貧血
e.特発性血小板減少性紫斑病
解答d,e
111B8
母親の情報について母子手帳から得られる可能性が最も高いものはどれか。
a.学歴
b.所得
c.職歴
d.婚姻歴
e.喫煙状況
解答e
111B10
正期産で出生した生後5日の新生児の所見として精査が必要なのはどれか。
a.心拍数60/分
b.呼吸数50/分
c.1日3回の溢乳
d.哺乳3時間後の啼泣
e.1日5回の黄色水様便
解答a
111B32
正期産児で新生児マススクリーニングを行うのに最も適切な時期はどれか。
a.出生当日
b.生後5日
c.生後10日
d.生後20日
e.生後30日
解答b
111B45
4か月の乳児。健康調査のため母親に連れられて来院した。母親と健診医との会話を以下に示す。
健診医 「お子さんはミルクをよく飲みますか」
母親 1「母乳ですが、足りないようなので粉ミルクを足しています」
健診医 「あやしたときに笑いますか」
母親 2「はい、よく笑います」
健診医 「お母さんの声の方を振り向きますか」
母親 3「はい、振り向きます」
健診医 「首はすわっていますか」
母親 4「まだすわっていないようです」
健診医 「寝返りをしますか」
母親 5「まだしません」
異常である可能性が高いのはどれか。
a.1
b.2
c.3
d.4
e.5
解答d
111C24
18歳の女子。発熱と咽頭痛とを主訴に来院した。2日前から38.5℃の発熱咽頭痛が続いている。口蓋扁桃は両側とも発赤、腫大しており、白苔付着を認める。
この患者が細菌感染症よりもウイルス感染症であることを示唆するのはどれか。
a.後頸リンパ節腫大を認める。
b.口蓋垂の偏位を認める。
c.結膜充血を認めない。
d.肝脾腫を認めない。
e.皮疹を認めない。
解答a
111D1
食物アレルギーで正しいのはどれか。
a.アトピー性皮膚炎とは関係ない。
b.消化管アレルギーはIgEを介して発症する。
c.口腔アレルギー症候群は乳児期から発症する。
d.即時型食物アレルギーの原因として最も多いのは鶏卵である。
e.食物依存性運動誘発アナフィラキシーは乳児期から発症する。
解答d
111D9
胎盤機能不全が原因の胎児発育不全で、最も早期から発育が抑制されるのはどれか。
a.頭部
b.心臓
c.肝臓
d.副腎
e.肺
解答c
111D10
感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届け出を行うのはどれか。
a.水痘
b.梅毒
c.突発性発疹
d.伝染性紅斑
e.性器ヘルペス
解答b
111D13
ギランバレー症候群の治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。
a.血漿交換
b.アシクロビル点滴
c.ステロイドパルス療法
d.免疫グロブリン製剤投与
e.ペンジルペニシリン(ペニシリンG)点滴
解答a,d
111D24
18歳の女子。これまでに一度も月経がないことを主訴に来院した。身長144cm、体重48kg。脈拍84/分、整。血圧110/76mmHg。首の両側の皮膚が広く、余っているように見える。上肢は肘から遠位が外反している。外陰は女性型。腹部超音波で子宮は小さく卵巣は確認できない。乳房TannerI度。陰毛はTannerII度。血液生化学所見:LH34mIU/mL(基準1.8-7.6)、FSH39mIU/mL(基準5.2-14.4)、エストラジオール10pg/mL(基準25-75)。心エコー検査で大動脈基部に拡大を認めない。
適切な治療はどれか。
a.エストロゲン・プロゲスチン療法
b.ゴナドトロピン療法
c.プロゲスチン療法
d.クロミフェン療法
e.エストロゲン療法
解答a
111D32
6か月の乳児。呼吸不全のため来院した。生後5か月から咳嗽が出現しており、昨日から多呼吸も出現するようになったため救急外来を受診した。身66.5cm、体重5.3kg。体温37.2℃。脈拍180/分、整。血圧88/52mmHg。呼吸数50/分。SpO2 86%(room air)。咽頭は発赤を認めないが、口腔粘膜に鵞口瘡を認める。心音に異常を認めない。両側の胸部にびまん性にfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球403万、Hb10.4g/dL、Ht31%、白血球2300(好中球64%、好酸球1%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球27%)、血小板37万。血液生化学所見:総蛋白6.1g/dL、IgG152mg/dL(基準440-880)、IgA5mg/dL(基準31-77)、IgM13mg/dL(基準19-55)。免疫血清学所見:CRP0.1mg/dL、β-Dグルカン26pg/mL(基準10以下)。人工呼吸管理を開始し、胃管と中心静脈カテーテルを挿入した。胸部Xp、胸部CTでは強い肺炎像を示す。
考えられる原因微生物はどれか。
a.カンジダ
b.リステリア
c.クラミジア
d.ニューモシスチス
e.サイトメガロウイルス
解答d
111D43
5歳の男児。幼稚園で他の児と遊べないことを主訴に両親に連れられて来院した。運動や言語の発達に問題はないが、視線が合いにくく呼びかけにも反応が乏しい。電車の図鑑に熱中しており、多くの車名を覚えている。幼稚園では1人でいることが多い。診察室では会話はできるが落ち着いて座っていることができず、自分が興味のあることを一方的に話す。身体所見に異常を認めない。
この患児に正しいのはどれか。
a.精神発達が併存する。
b.統合失調症へ移行する。
c.身辺の自立は良好である。
d.社会性の発達は良好である。
e.チック障害が併存することは少ない。
解答c
111E2
学校保健統計調査における小学校の主な疾病・異常被患率を示す。
1995年で25%、2015年で30%の被患率を持つ疾患はどれか。
a.心電図異常
b.むし歯
c.鼻・副鼻腔疾患
d.尿蛋白検出の者
e.裸眼視力1.0未満の者
解答e
111E6
ワクチン接種率が向上することで期待されるのはどれか。
a.感受性人口が増加する。
b.流行のピークが早まる。
c.罹患期間が長くなる。
d.潜伏期間が短くなる。
e.罹患率が低下する。
解答e
111E25
家系図を示す。母系の男子のみが発症している。父系は発症していない。
遺伝形式として最も考えられるのはどれか。
a.Y連鎖
b.X連鎖優性
c.x連鎖劣性
d.常染色体優性
e.常染色体劣性
解答c
111E43
日齢3の新生児。哺乳不良と傾眠傾向とのた産科診療所から救急車でNICUに搬入された。在胎40週、3200g、Apgarスコア9点(1分)で出生した。生後6時間から皮膚と眼球結膜との黄染を認めていた。体温37.0℃。心拍数120/分、整。呼吸数40/分。SpO2 98%(room air)。血液所見:赤血球380万、Hb13.0g/dL、白血球12000、血小板23万。血液生化学所見:総ビリルビン30.0mg/dL、直接ビリルビン1.8mg/dL、AST15IU/L、ALT18IU/L、LD650U/L(基準335-666)。
この患児にみられる可能性が高い所見はどれか。
a.注視麻痺
b.後弓反張
c.大泉門膨隆
d.アテトーゼ
e.筋トーヌス低下
解答e
111E58
日齢0の新生児。経腟分娩で出生した。在胎39週3日、出生体重は3160gであった。分娩中に胎児心拍陣痛図で遷延一過性徐脈が繰り返し出現していた。出生後1分の時点では全身にチアノーゼを認め、心拍数80/分、呼吸は不規則であった。刺激に対して顔をしかめるが全身がだらりとしていた。バッグバルブマスクを使って蘇生を行ったところ、出生5分後までに全身がピンク色になり、心拍数140/分、刺激で強く泣き、四肢をよく動かしていた。
この児の出生5分後の所見に基づく判断について、適切なのはどれか。2つ選べ。
a.酸素化は良好である。
b.末梢循環は良好である。
c.呼吸器疾患は否定できる。
d.今後の発達は正常である。
e.先天性心疾患は否定できる。
解答a,b
111F11
大量吐血患者が救急車で搬入された。心拍数120/分、血圧80/50mmHg。
初期対応で投与すべき輸液はどれか。
a.Na130mEqの輸液
b.Na90mEqの輸液
c.Na35mEqの輸液
d.Na30mEqの輸液
e.Na0mEqの輸液
解答a
111F15
乏尿をきたすのはどれか。
a.糖尿病
b.SIADH
c.急性腎不全
d.低K血症
e.高Ca血症
解答c
111F17
8歳男児。腹痛を主訴に母親に連れられて来院した。昨日の午後の授業中におなかが痛くなり早退した。帰宅したら腹痛は治まり、いつも通り夕食を食べて入眠したが、今朝おなかが痛くて目が覚め、痛みが続くため受診した。
急性虫垂炎を鑑別するために患児に尋ねる有用な質問はどれか。
a.「学校に行くのは楽しいかな」
b.「おなかのどこが痛いかな」
c.「うんちは1日何回するの」
d.「昨日の給食は何を食べたの」
e.「おなかを痛がっているお友達はいるかな」
解答b
111G7
市町村保健センターの業務はどれか。
a.夜間・休日の診療
b.乳幼児の健康診査
c.要支援、要介護の認定
d.食中毒発生時の原因調査
e.病院運営についての助言
解答b
111G8
母体における欠乏によって胎児に二分脊椎が発生しうるビタミンはどれか。
a.ナイアシン
b.ビタミンA
c.ビタミンB1
d.ビタミンK
e.葉酸
解答e
111G28
食道異物のうち、最も緊急に摘出する必要があるのはどれか。
a.魚骨
b.硬貨
c.歯牙
d.ボタン電池
e.PTP(錠剤やカプセル剤の包装)
解答d
111G33
母子保健法に規定されている児の健康診査の時期で正しいのはどれか。2つ選べ。
a.1か月
b.4か月
c.1歳
d.1歳6か月
e.3歳
解答d,e
111G45
1か月の乳児。健康調査のため母親に連れられて来院した。母乳栄養で1日10回哺乳し、便は黄色泥状で4,5日に1回出る。固視するが追視はせず、大きな音がすると、万歳するように両手を上前方に突き出した後に抱え込むような動作が見られるという。身長53cm、体重3680g(出生時体重2850g)、頭囲37cm、皮膚に黄染を認める。顔面に紅色丘疹の集簇を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。
母親への説明として適切なのはどれか。
a.「光線療法を行いましょう」
b.「顔に抗菌薬の軟膏を塗りましょう」
c.「肛門を綿棒で刺激して排便を促しましょう」
d.「体重が増えていないので、ミルクを加えましょう」
e.「てんかん発作があるので、抗てんかん薬を飲ませましょう」
解答c
111G54
15歳の女子。不登校を主訴に母親とともに来院した。小学校高学年の頃から男みたいだと友達からからかわれるようになった。中学校入学後も、このような状態は続き、不登校がちになった。受診時、質問には的確に回答し、思路に問題はみられない。感情表出は自然である。学校に行かない理由を尋ねると「友達からいじめられるけれど、あまり気にしていない。小学校は私服だったからよかったけど、中学は制服で、スカートをはきたくない。生理も嫌だし、生理が始まったときは本当に辛かった。胸が膨らんでいるのを見られたくない。だから学校に行きたくない。こんなことを言っても分かってもらえないと思うので、誰にも言っていない」と述べる。診察上は異常所見は認めない。
最も考えられるのはどれか。
a.性嗜好障害
b.妄想性障害
c.性同一性障害
d.自我同一性障害
e.パーソナリティ障害
解答c
111I24
嘔吐と下痢を伴うウイルス性胃腸炎が強く疑われる児の汚物を処理する際に用いる消毒薬として適切なのはどれか。
a.エタノール
b.ポピヨンヨード
c.塩化ベンゼルコニウム
d.次亜塩素酸ナトリウム
e.グル混酸クロルヘキシジン
解答d
111I30
心室中隔欠損症によるうっ血性心不全と肺高血圧症を伴う4か月の乳児について、適切な治療方針はどれか。2つ選べ。
a.利尿薬投与
b.β遮断薬の投与
c.高濃度酸素投与
d.肺血管拡張薬の投与
e.1歳未満での開胸修復手術
解答a,e
111I37
肥満度20%の単純性肥満と診断された6歳の男児本人とその保護者への説明として正しいのはどれか。3つ選べ。
a.「食欲を抑える薬を使いましょう」
b.「間食でスナック菓子は控えましょう」
c.「テレビの視聴時間を減らしましょう」
d.「主食を3食ともパンにしましょう」
e.「3大栄養素をバランスよく摂りましょう」
解答b,c,e
111I38
救急外来で小児を診察した研修医から指導医への報告を次に示す。
研修医「2歳の女の子です。5日前から39℃の発熱が持続するため来院しました。2日前に自宅近くの診療所を受診し解熱薬を処方されています。呼吸数30/分、脈拍144/分で、診察所見としては咽頭発赤とイチゴ舌があり、体幹に発疹を認めることから溶連菌感染症を疑います」
指導医「溶連菌感染症は重要な鑑別疾患だね。でも川崎病の可能性はどうかな」
川崎病との鑑別のために追加して確認すべきなのはどれか。3つ選べ。
a.眼球結膜充血
b.耳下腺の腫脹
c.頬粘膜の白斑
d.頸部リンパ節腫脹
e.手指の腫脹
解答a,d,e
111I56
1歳男児。発熱を主訴に母親に連れられて来院した。5日前から発熱があり、活気不良となってきたため受診した。(中略)下腿を中心に点状出血を認める。血液所見:赤血球366万、Hb8.8g/dL、Ht26%、白血球2100(好中球10%、好酸球0%、好塩基球0%、単球4%、リンパ球51%、異型リンパ球35%)、血小板2.3万、PT-INR1.6(基準値0.9-1.1)、フェリチン5430ng/mL(基準7.4-86)。
最も考えられるのはどれか。
a.血球度貪食症候群
b.再生不良性貧血
c.von willebrand病
d.急性リンパ性白血病
e.特発性血小板減少性紫斑病
解答a
111I57
13歳の女子、下腿の浮腫を主訴に母親に連れられて来院した。半年前の学校検尿で蛋白尿と尿潜血を指摘され、近くの小児科で専門医療機関の受診を勧められていたが、自覚症状がないため受診していなかった。身長154cm、体重53kg。脈拍72/分、整。血圧114/60mmHg。尿所見:蛋白3+、潜血2+、沈査に赤血球10-29/1視野、脂肪円柱3/1視野、尿蛋白3.8g/日。血液生化学所見:総蛋白5.1g/dL、アルブミン3.0g/dL、IgA280mg/dL(基準110-410)、尿素窒素10mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、尿酸4.5mg/dL、総コレステロール260mg/dL。C3 18mg/dL(基準52-112)。腎生検のPAS染色標本ではメサンギウム細胞の増殖が見られ、蛍光抗体C3染色標本では補体の沈着が見られる。
この患者の診断はどれか。
a.IgA腎症
b.巣状分節性糸球体硬化症
c.微小変化群
d.膜性腎症
e.膜性増殖性糸球体腎炎
解答e
111I60
10歳の男児。発熱のため父親に連れられて来院した。5か月時に慢性肉芽腫症と診断された。5日間にわたる発熱と食欲不振が改善しないため受診した。意識は清明。身長134cm、体重29kg。体温38.2℃。脈拍80/分、整。血圧90/50mgHg。SpO2 99%(room air)。咽頭は発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右季肋部に叩打痛を認める。血液所見:赤血球395万、Hb10.5g/dL、Ht32%、白血球10200(桿状核好中球19%、分葉核好中球43%、好酸球4%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球27%)、血小板46万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.3mg/dL、AST28U/L、ALT22U/L、LD240U/L(基準254-544)、ALP550U/L(基準359-1110)、尿素窒素10mg/dL、Na135mEq/L、K4.5mEq/L、Cl102mEq/L。CRP11mg/dL。腹部造影CTでは肝臓にリング状に造影された領域が見える。
考えられるのはどれか。
a.肝嚢胞
b.肝膿瘍
c.肝芽腫
d.肝血管腫
e.肝脂肪腫
解答b
111I68
12歳の男児。脱力発作を主訴に母親に連れられて来院した。2年前からハーモニカを吹いたときや熱いラーメンを食べたときに右または左手足の脱力が出現し、数分で改善するという発作が出現していた。最近は発作の頻度が増加しており月に2回程度みられるという。本日も体育の授業中に右手足の脱力と構音障害とが出現し、数分後に回復したが、心配した母親に連れられて受診した。意識は清明。体温36.2℃。脈拍88/分、整。血圧118/72mmHg。呼吸数18/分。神経学的所見、血液学的所見、心電図および胸部エックス線写真に異常を認めない。頭部MRIのT1強調像と左右の内頚動脈造影正面像とを別に示す。
治療方針として適切なのはどれか。
a.血行再建術
b.腫瘍摘出術
c.動脈塞栓術
d.血栓溶解療法
e.ステント留置術
解答a
第111回医師国家試験の悪問まとめ
悪問の定義を「臨床では役に立たない問題」としたため、必然的に公衆衛生に絡んだ問題が悪問に多く含まれる結果になりました。
公衆衛生が不要だと言うつもりはありません。
医師になってからも、公衆衛生の知識は大切です。
市役所、保健所、児童相談所、小児慢性特定疾患、特別児童扶養手当など、小児科医が知っておかなければならない公衆衛生学はたくさんあります。
公衆衛生学が実臨床にも役立つケースを問題にできると、医師国試の流れとしていいのかもしれません。
なお、第111医師国家試験の合格率について思うことをこちらに書きましたので、併せてどうぞ。