新生児蘇生法講習会の臨場感をアップ。心臓の音が聞こえる人形。

シミュレーション教育にはリアリティが必要です。

これについては、以前こんな記事を書きました。

NCPR。頭では分かっていても手が動かない問題。

2017.11.21

上記の記事では、受講生がある程度慣れてきたら、リアリティの高いシミュレーションを行ったほうが、現場で実践できる知識・技術を習得しやすいのではないかと書きました。

今回は、新生児蘇生講習会で臨場感を高めるデバイスを体験しましたので、その感想を書きます。

心音が聞こえる新生児人形

今回ご紹介するのは、こちら!
と、なんだか通信販売のようなフレーズで始まってしまいました。

KOKENの新生児蘇生モデルアドバンスLM-111です。

この人形は、タブレットと連動しています。
遠隔操作で心音、呼吸音、泣き声を再現することができます。

人形に聴診器を当てると、心臓の鼓動する音が聞こえてくるんです。
どんなものなのか、さっそく試してみたくなります。

試してみた

というわけで、さっそく試してみました。

聴診器で心音を聞いてみると、トン、トン、トンと音が聞こえます。

聴診器を当てている人にしか、この音は聞こえません。

現場でも、赤ちゃんの心拍数が分かるのは、聴診器を持っている人だけです。
赤ちゃんの蘇生は2-3人のスタッフで対応しますが、聴診器を持つのは1人だけです。
この「聴診器を持っているスタッフだけに心音が分かる」という状況は、本当に現場の臨場感を味わえます。

「心拍数は80です!」と宣言する声が、シミュレーションでも緊張して震えてしまいそうです。

タブレットは遠隔操作に使うだけではなく、簡易のモニターにもなります。

ただ、このモニターはかなり簡易です。
心電図モニターは静止画です。
SpO2も5-10%きざみです(後述します)。

SpO2はトレンドが大事であることは、新生児蘇生法講習会の講義でも強調されています。
SpO2 80%であっても、76,77,78,79,80……と増えているのか、84,83,82,81,80……と減っているのかで解釈が変わります。

5%刻みだと、トレンドを表現するのが難しいと感じました。

タブレットです。
このタブレット1枚で遠隔操作とモニター表示とを両方行います。

前述した通り、表示できるSpO2が雑です。
SpO2 0%とか20%とか30%とか40%とか要らないんですよ。
(50%も使わないと思います)
それよりも、SpO2 60-80%の10%刻みをもう少し細かく設定できてほしかったです。
(理想を言えば、1%刻みで表示できるカーソルキーが欲しいです)

また、両者を1枚のタブレットで行うのは無理があります。
表示モニターは別に用意してもらって、モニターも遠隔操作できたほうがいいと感じました。

電池は単3が4本です。
丸見えの基盤がゲームボーイ世代にはたまりませんね。
(昔、ゲームボーイブロス・スケルトンという、透明のプラスティックで作られ基盤が透けて見えるゲーム機があったんです)

まとめ

心音が聞こえる新生児蘇生人形を試してみました。

利点

  • 聴診器を持った人間にしか心音が分からない状況は、現場の臨場感・緊張感を大きく上げる。

惜しい点

  • タブレットのモニター表示が簡素すぎる。
  • 特にSpO2 60-80%が10%刻みでしか表示できないのがつらい。
  • モニター表示用のタブレットがもう一つ欲しい。
  • 高い(あえて正確な値段を書きませんが、30万円以上はします)。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。