マイコプラズマ肺炎はいつまでうつる?出席停止と排菌期間。

2017年3月15日に更新。
「マイコプラズマ肺炎は、場合によっては第3種の感染症に含まれる、その他の感染症」という表記が正確であるため、修正しました。

発熱と咳で受診した5歳の子どもで、レントゲンやマイコプラズマ抗原検査でマイコプラズマ肺炎と診断し、ジスロマックを処方し……。

その2日後に、子どもは元気になりました。

これで医者の仕事は終わり!ではありません。
最後にこの用紙を書かなければなりません。

そうです、登園許可証です。
小学生以上であれば、登校許可証になります。

内科の先生は、あまりこういう許可証を書かないのではないでしょうか。
「幼稚園や学校に行ってもいいですよ」と診断してあげるのも、小児科医の仕事です。

でも、上の画像をよく見てください。

「現在かかっている病気が軽快し、他の園児への感染のおそれがなくなりましたら……」

「他の園児への感染のおそれがなくなりましたら」ということ判断するには、その病気がいつまで感染力を持つのかを知らなければなりません。

今回は、マイコプラズマ肺炎がいつまでうつるのかを考えます。

学校保健安全法による見解

マイコプラズマ肺炎は学校保健安全法で「場合によっては第3種の感染症として扱われる、その他の感染症」に分類されます。

場合によっては第3種の感染症として扱われる、というのは、「必ずしも出席停止は必要ではないが、学校では通常見られないような重大な流行が起こった場合に、その感染拡大を防ぐために、学校医の意見を聞き、校長が第3種の感染症として緊急的な措置がとれる」という意味です。

要するにマイコプラズマ肺炎は、必ずしも出席停止は必要ないけれど、最近学校で流行してきているなあというときは出席停止にできる、という感染症です。

必ずしも出席停止は必要ないとしつつも、学校は感染拡大防止に積極的ですから、基本的にマイコプラズマ感染は第3種の感染症として扱われ、出席停止になります。

ですので、マイコプラズマ肺炎になると、たいてい登校許可症を書いてきてもらうように学校から言われます。

学校保健安全法では出席停止の期間の目安も設けられています。
出席停止期間のまとめについては、こちらで書きました。

登校許可証。インフルエンザやマイコプラズマはいつから登校できるか?

2017.03.18
マイコプラズマ感染症については「急性期は出席停止、全身状態がよければ出席可能」と書いてあります。

小児科医が「全身状態がいい」と判断するのは、機嫌がよく、活気があって、食欲もあって、笑顔が見られるような状態です。
多少の咳があっても、元気そうなら「全身状態がいい」と診断します。
多少の咳は目をつぶってあげないと、マイコプラズマの咳は2週間から4週間続く人もいますから、咳が完全におさまるのを待っていたら学校を1か月近く休むことになってしまいます。

ですが、いくら元気であっても、まだ熱があるときはさすがに「急性期」と判断し、出席停止とするでしょう。

以上を勘案すると、多くの小児科医は「熱が下がって、元気であれば、多少咳があっても登園・登校を許可する」としています。

熱が下がってもマイコプラズマ肺炎はうつる?

熱が下がって、元気であれば、小児科医はマイコプラズマ肺炎の子どもの登園・登校を許可します。
ですが、熱が下がればマイコプラズマはもう人にうつらないのでしょうか?

Therapeutic efficacy of macrolides, minocycline, and tosufloxacin against macrolide-resistant Mycoplasma pneumoniae pneumonia in pediatric patients.(Antimicrob Agents Chemother. 2013 May; 57: 2252-8.)に面白い報告があります。

マイクロライドがよく効くタイプのマイコプラズマ肺炎患者38人に対して、アジスロマイシン(商品名ジスロマック)かクラリスロマイシン(商品名クラリス)を投与しました。

end of treatmentがどの時期なのかは論文中に書かれていませんが、途中で内服4日目の菌量がかかれていますし、クラリスロマイシンの投与期間が10日であることを考慮すれば、発症10日目あたりをend of treatmentとしていると推察し、その仮定で以下を書きます。

アジスロマイシンは発症10日目には全員のマイコプラズマは消えていました。
クラリスマイシンは発症10日目には73%でマイコプラズマが消えていました。

いっぽうで、マイクロライド耐性マイコプラズマ肺炎患者150人には、アジスロマイシンかクラリスロマイシンか、トスフロキサシン(商品名オゼックス)かミノサイクリン(商品名ミノマイシン)を飲ませました。
発症10日目に体内からマイコプラズマが消えている確率は、それぞれ34%、35%、59%、77%でした。

要するに、マクロライド耐性マイコプラズマが増えてきた昨今では、多くのケースでは発症10日目でも体にマイコプラズマが残っていると考えられます。

体にマイコプラズマが残っているということは、咳をすれば飛沫としてマイコプラズマをまき散らしますから、うつる可能性があると考えるのが適切です。

登園・登校が許可されても気をつけるべきこと

多くの小児科医は学校保健安全法に従って、「熱が下がって、元気であれば、多少咳があっても登園・登校を許可する」という方針です。

しかし、上記の論文からは、発症10日目でも体にマイコプラズマが残っているケースは多いと考えられます。

したがって、マイコプラズマ肺炎で登園・登校が許可されても気をつけるべきことは次の2点です。

  • 咳が出る場合はマスクをしておく。
  • 抗生剤をしっかり飲み切る。

マイコプラズマは飛沫感染ですから、マスクは有効です。
友達にうつさないためにも、学校に行ってもしばらくはマスクをしておきましょう。

また、アジスロマイシンでは3日、クラリスロマイシンでは10日、トスフロキサシンやミノサイクリンでは7日内服することが小児呼吸器感染症ガイドライン2017で推奨されています。
この期間しっかり飲んでいても体内にマイコプラズマが残るのですから、「元気になったしもういいや」と途中で内服を中断していたとしたら、もっと多くのマイコプラズマが体内に残るでしょう。

そうすれば、学校でマイコプラズマ肺炎が蔓延してしまうかもしれません。
そうならないためにも、抗生剤はしっかり最後まで飲み切りましょう。

まとめ

マイコプラズマ肺炎がいつまでうつるのかを考察しました。

抗生剤をしっかり飲んでいても、10日間はうつる可能性があると考えるのが妥当と考えます。

ですが、10日も学校を休むのは、その子どもにとって不適切です。
熱が下がって、元気になれば、学校に行ってもいいでしょう。

ただし、まだ人にはうつるんだという意識を持って、咳が出る間はマスクをし、処方された抗生剤はしっかり飲み切ることを心がけてください。

マイコプラズマの典型的な症例提示については、こちらの記事がおすすめです。

マイコプラズマで肺炎に!?典型的な7歳の症例提示。

2017.01.06