かぜ薬は1日2回でもいいのか、考えてみた。

園児はよくかぜをひきます。
そのたびに1~2週間の咳や鼻が出ます。

咳や鼻が完全におさまるまで欠席するのは、現実的ではありません。
熱がなく、元気であれば、多少の咳や鼻があっても登園可能だと私も考えています。
登園可能ではあるものの、咳や鼻はあるので、「かぜ薬」を内服しながら園児が登園しているという状況も現実的です。

そこで1つ問題が浮かびます。
「かぜ薬」を保育園でも飲ませてもらうべきなのか、ということです。

かぜ薬が1日2回投与でもいいのであれば、保育園で薬を飲ませてもらう必要はありません。

今回は、「かぜ薬は1日2回でもいいのか」というテーマを考えてみます。

カルボシステイン

カルボシステインは去痰薬の一種であり、かぜの鼻水や痰が絡んだ咳に有効であると考えられています。
かぜ症状に対して頻用される薬です。

カルボシステインの特徴は以下です。

  • 添付文書によると、1日3回。最高血中濃度に達する時間は2.8時間、半減期は1.3時間。
  • NHSガイドラインでは、1日3回投与が基本。
  • Patient.infoでは、小袋入りのシロップ製剤では、「通常1日3回だが、症状が改善したら1日2回に減らす」という記載あり。

以上から、カルボシステインは半減期が短く、1日3回が基本と考えるべきに感じます。
ただし、元気な園児に対しては、1日2回も許容される、という解釈も可能かもしれません。

アンブロキソール

アンブロキソールも去痰薬の一種であり、かぜの鼻水や痰が絡んだ咳に有効であると考えられています。

アンブロキソールの特徴は以下です。

  • 添付文書によると、1日3回。最高血中濃度に達する時間は2.25時間、半減期は7.65時間。
  • Drugs.comでは、1日2回~3回の内服と記載あり。

以上から、アンブロキソールは半減期が長く、1日2回投与が可能です。

デキストロメトルファン

デキストロメトルファンは咳止めとして知られる薬です。

デキストロメトルファンの特徴は以下です。

  • 添付文書によると、1日1~4回。最高血中濃度に達する時間は2.1時間、半減期は3.2時間。
  • Drugs.comによると、徐放製剤でない限り、1日3-4回の投与が必要。

デキストロメトルファンの徐放製剤は、OTCでは見つけられましたが、処方薬では見つけられませんでした。
半減期は長くはありませんので、1日3回が基本だと考えられます。
ただし、添付文書には「1日1~4回」とあり、1日2回投与も添付文書通りの使用となります。

まとめと個人的見解

1日2回投与が可能なかぜ薬として、アンブロキソールが優位な印象を受けました。

しかし、カルボシステインやデキストロメトルファンが1日2回にできない、というわけではありません。
今回かぜ薬の投与対象は「保育園に通えるほど元気な園児」であるからです。
元気な園児に対して、薬剤が常に有効血中濃度に達していなければいけないのかと言われると、そうではないと思います。

基本は分3だが、保育園で昼内服が難しい場合は分2でもよい。

小児科ファーストタッチ

小児科ファーストタッチでは、かぜ薬の1日2回投与を許容する方針を提案しました。

保育園は、たくさんの園児を預かっています。
かぜ薬の投薬まで保育園にお願いすると、管理が煩雑となって、本来行き届くはずの目が届かなくなるリスクがあります。

児の状態を見極めつつ、1日2回でも問題ないケースには、1日2回投与を提案する姿勢が、小児科医には必要であると考えます。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。