「子どもは静かに溺れる」
このフレーズは、佐久医師会の教えて!ドクタープロジェクトでも、繰り返し啓蒙されています。
私も、【0‐6歳 最新版】ママとパパの赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典の監修にあたって、「子どもが溺れたとき」についてまとめました。
今回は、子どもが溺れたときの様子と、その対応について書きます。
3歳以下の水の事故の9割がおふろ
「子どもが溺れる」というと、海やプールを想像するかもしれません。
ですが、3歳以下の子どもの水の事故の9割が、おふろで起きています。
目を離したすきに子どもが浴室に入って湯船に落ちたり、ママやパパがシャンプー中で目を離した一瞬の間に溺れることがあります。
子どもは静かに溺れる
「子どもが溺れても、音で気づけるはずだ」
そう思う人は多いと思います。
私も、溺れるといえばのび太君のイメージです。
「たすけて、ドラえもーん!」と叫びながら、水面をバシャバシャと叩くのび太君。
こんなに大騒ぎしていれば、確かに近くにパパママがいればすぐに気づけるでしょう。
ですが、子どもは静かに沈みます。
バシャバシャもできません。
声を上げることもできません。
溺れた子どもは、ひっそりと、水の底で固まっています。
このメッセージを、あまねくらぶのアマネちゃんも強くメッセージしてくれています。
ゲームやアニメーションを使って、医学的な知識を印象付けようと頑張っているアマネちゃんを私は応援しています。
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(アマネちゃんも「いいねがつくと嬉しいね!」と言ってました)
子どもが溺れないためには
子どもが溺れないためには、どうすればいいでしょうか。
「子どもから目を離さない!」という意識はもちろん大切です。
たとえば、「子どもだけでお風呂に入らせない」という配慮だけでも、安全性は大きく上がるでしょう。
これは、家庭用のプールでも同様です。
子どもがお庭でプールをしている間、親がスマホに夢中になって子どもから目を離すということがないようにしなければなりません。
「何かあれば、音で分かるだろう」とは考えてはいけません。
子どもは静かに溺れるので、音では気づけません。
ですが、どれだけ意識しても、一日中子どもを見続けることはできないでしょう。
やはり、子どもが溺れにくい環境を整えることも大切です。
たとえば、おふろの水を貯めっぱなしにしない。
10cmの水が溜まっているだけでも、子どもが溺れるのに十分です。
子どもはそもそもアンバランスで、態勢を立て直すことができず、口と鼻が水に覆われた状態から顔を上げることができないことがあります。
「おふろのお湯を翌日の洗濯に使いたい」という理由は環境面からも経済面からもすてきな考えですが、3歳以下の子どもがいるご家庭では避けた方がいいと私は思います。
家庭用のプールも、遊び終わったらきちんと水を抜きましょう。
それでも溺れてしまったときの2ステップ
それでも溺れてしまったときの2ステップを紹介します。
- 水から引き上げて、意識を確認する。
- 意識がない場合は救急車を呼び、心肺蘇生をする。
AEDが近くにあれば、もちろん取り付けてください。
体が濡れているので、軽く拭き取ってからパッドを貼り付けましょう。
まとめ
- 子どもは静かに溺れます。
- 音で気づくことはできません。
- 3歳以下の子どもの水の事故の9割がおふろで起きています。
- 目を離さないことも大切ですが、そもそも溺れるような場所を作らないことも大切です。
- もし溺れたら、水から引き上げて、意識がない場合は救急車を呼び、心肺蘇生をします。
数年前ですが、海水浴に行ったとき、3歳くらいの子どもが波で足元をすくわれ、海の中に倒れました。
水の底で、目をあけたまま、水面を見つめ、じっと固まっていました。
私がすぐ引き上げたので、水中にいた時間は1秒くらいだったと思います。
ですが、水の底にいた子どもの顔は、「溺れるイメージ」とかけ離れていました。
本能的溺水反応ってこういうことなんですね坂本先生。
と、佐久医師会のことを思いました、