ものもらい、めばちこ、めいぼ、おひめさん。麦粒腫の呼び方・治療あれこれ。

ものもらい。

眼のフチにできる感染症の一つです。
医学的には「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」といいます。

麦粒腫って各地でいろんな呼び方があるんです。
そして治療法も、意外なことにいろいろあります。

今回は、麦粒腫の呼び方・治療の知識差について書きます。

麦粒腫とは

眼瞼における急性化膿性炎症の一つです。
睫毛根周囲の皮脂腺(Zeis線)、汗腺(Moll腺)に炎症が起きるものを外麦粒腫と呼びます。
眼瞼後葉のMeibom腺に起こるものを内麦粒腫と呼びます。

外麦粒腫は上眼瞼耳側と下眼瞼鼻側に多いです。

内麦粒腫は痛みが強く、結膜充血を伴うこともあり、眼瞼結膜側に腫れることが多いです。

麦粒腫の呼び方

麦粒腫は地域によって呼び方がさまざまです。
もっとも有名なのは「ものもらい」ですが、私がいる兵庫県では「めばちこ」と言います。
私の上司は熊本県出身なのですが「おひめさん」と呼ぶらしいです。

順位や分布については、ロート製薬様のものもらいMAPがとても面白いです。
おひめさん(おひめさま)は熊本の67%の人が使っているとのことでした。
どうしてですかね、昔のお姫様は御簾で顔を隠していたからでしょうか。

山口県、宮崎県、徳島県、京都府、滋賀県では「めいぼ」と呼ぶ人が多いです。
文字通り「目のイボ」なんでしょうね。
Meibom腺をメイボームと発音したから、というわけではないですよね。

麦粒腫の治療

麦粒腫は一般的に表皮ブドウ球菌、または黄色ブドウ球菌による感染症です。
抗菌薬の点眼、眼軟膏、内服が基本治療で、補助的に穿刺をすることもあると小児内科(2012年 vol.44 p898-899)にあります。

私も、抗菌薬の点眼が治療の基本だと思ってました。

ですが、Up to date: Patient education: Stye (hordeolum) (The Basics)には違うことが書いてありました。

ホームケア
症状を和らげるのに温湿布が有効です。ぬるま湯で温めた布を目に当ててください。冷めたら、ぬるま湯で温め直し、再び温湿布します。これを15分ほど繰り返し、1日4回を目安にしてください。

麦粒腫を圧迫したり、弾いたりしてはいけません。悪化させる可能性があります。また、麦粒腫が良くなるまでは、アイメイクやコンタクトレンズをつけてはいけません。

受診タイミング
次のような場合は、医師や看護師の診察を受けてください。

  • 温湿布を 1-2週間使用しても、麦粒腫が治らない。
  • 麦粒腫が大きくなったり、出血したり、視界を妨げる。
  • 目全体が赤くなっている、またはまぶた全体が赤く腫れている。
  • 頬などに赤みや腫れが広がる。
本ページのアイキャッチ画像に使っている麦粒腫は、まぶた全体が腫れているので、病院を受診した方がいいケースです。
ですが、小さな麦粒腫であれば、目を温めるだけで様子をみるのが欧米流の方法のようでした。

まとめ

麦粒腫は地域によって呼び方も治療もいろいろなようです。

 

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。