アトピー性皮膚炎が、すぐに完治するということはありません。
どこを治療のゴールとするかで意味合いが変わってきますが、たとえば「保湿さえ続けていれば湿疹は十分に予防され、ステロイドを塗る必要がない」という状態をゴールとするならば、数か月から1年、2年、場合によっては3年以上、根気よく続けていかなければなりません。
私はアトピー性皮膚炎の治療モチベーションを高める方法を6つほど実践しています。
今回は、そのうちの1つを紹介します。
このページの目次です。
モチベーションシート
ダイエットのモチベーションを高める方法として、「スリムになった自分を想像して、どんないいことがあると思いますか?」という手法があります。
明るくなれるかも?とか、自信がつくかも?とか、着られなくなった服がまた着られるようになるかも?とか、健康診断の結果が改善するかも?とか、パートナーが惚れ直してくれるかも?とか。
そういうことを考えると、「よし、ダイエットがんばるぞ!」となれますよね。
アトピー性皮膚炎でも同じような手法があります。
次の5つの質問に答えてもらうことで、モチベーションを保ちます。
- アトピー性皮膚炎でこまることや、やだなあと思うことはなんですか?
- アトピー性皮膚炎なのに、何もしないままでいるとどうなりますか?
- アトピー性皮膚炎が治るとどんないいことがあると思いますか?
- アトピー性皮膚炎を治すために、これからがんばろうと思うことはなんですか?
- でも、がんばりきれないときや不安なときはどうしますか? だれにどんなふうに助けてもらいますか?
この5つの質問に答えてもらって、部屋の壁やお子さんの机に貼ってもらいます。
塗り薬を塗るのが面倒になったとき、外来を受診するのがおっくうになったとき、このモチベーションシートを見てもらいます。
これを見れば、やる気が出てくるはずです。
ちなみにこのシートは小児看護2018年4月号p436に「スキンケア目標シート」として紹介されていました。
私のスキンケア目標はこれとは別に設けていますので、上記の質問5つは「モチベーションシート」と呼んでいます。
まとめ
アトピー性皮膚炎の治療を続けるための、モチベーションシートを紹介しました。
注意点に書いた通り、医師はこの質問の答えを誘導せずに、お父さん・お母さん、またはその子どもが自発的に導いた答えを尊重しましょう。
これは、アトピー性皮膚炎外来を数か月くらい続けたときくらいにお勧めします。
なぜなら、この時期は、保湿をがんばってがんばって、でも悪くなってステロイドを使っての繰り返しで、本当にアトピー性皮膚炎が完治に向かっているのか不安になる時期だからです。
毎日毎日、外用薬を塗り続ける日々にだんだん疲れてくるのも、治療から数か月たったあたりでしょう。
モチベーションシートを書いてもらうと、当初の目的を思い出します。
心機一転、またがんばろうと思えてきます。(個人差はありますが)