舌下免疫の【使用上の注意】改訂。前2時間から後2時間以降へ。

当院で舌下免疫療法をしている患者数は年々増加しています。
アレルギー性鼻炎はQOLを大きく損ねますので、免疫療法によって症状を少しでも軽くしてあげたいです。

スギやダニに対するアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法についての詳細は、こちらの記事を参照ください。

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今回は、2019年7月に舌下免疫療法の【使用上の注意】が改訂されましたので、その情報をシェアします。

内服前の制限で「2時間」という設定がなくなった

舌下免疫療法というのは、ミティキュア、アシテア、シダキュア、シダトレンが該当します。
これらはいずれも、「本剤を服用する前後2時間程度は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避ける」という注意がありました。

これにより、例えば21時に入浴する人がミティキュアを飲むとき、19時から23時という時間を避ける必要がありました。
19時までに飲むとなると、塾や習い事、仕事などで内服しにくいです。
23時以降に飲むとなると、内服前に寝てしまうデメリットがあります。

入浴前後2時間は内服できないという制限はなかなか厳しいと感じていました。

それが、2019年7月から改訂されます。
「本剤服用前、および服用後2時間は、激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避けるという記載に変わっています。
つまり、服用前2時間という記載がなくなりました。

もちろん、入浴後で体が火照った状態で内服するのはリスクがあります。
内服するときは平常時の状態まで落ち着いてから内服すること必要です。
ですが、10分-20分ほど安静で休養すれば平常時の状態まで落ち着くでしょうから、今までの「2時間」という制限がなくなったことで、舌下免疫療法を継続しやすくなったと感じます。

「服用前2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴等を避ける」という制限から、2時間という記載がなくなった理由は、この2時間にエビデンスがないことが理由です。

内服後の制限に「2時間以降」という注意が追加された

内服前の制限が軽くなったのは、舌下免疫療法をしている人にとって朗報です。
ですが、朗報だけではなく、注意点の追加もあります。

それが、「服用後2時間以降に激しい運動、アルコール摂取、入浴等を行う場合にも、アナフィラキシー等の副作用の発言に注意する」という記載の追加です。

これは、舌下錠を内服して2時間後にランニングをしたところ、アナフィラキシーを呈したという症例報告があったためです。

舌下免疫療法はどう変わるか

2019年7月の改定で舌下免疫療法はどう変わるでしょうか。

内服前2時間という要素が外れたことで、夜の内服がしやすくなったと考えることができるでしょう。
ですが、内服2時間後以降も注意となると、状態の観察のしやすさ、医療機関へのアクセスを考慮し、朝の内服のほうが安全だという考え方もできます。

その地域の医療アクセスのしやすさも関係するでしょう。
夜間に受診できる医療機関がない地域では、朝内服という方法しかないかもしれません。
また休日に受診できる医療機関がない地域では、そもそも舌下免疫をするのかという議論になります。

舌下免疫療法の時期についても考慮が必要です。
増量期のほうが注意深い観察が必要でしょう。

年齢やライフスタイルも影響するでしょう。
子どもにとっては「アルコール」という要素は関係ありませんし、おとなにとっては「激しい運動」という要素は関係ないことが多いです。

以上から、一概にどのタイミングで内服すべきとは言えません。
しいて言うなら、私は「増量期は朝内服で、維持期で安定すれば夜内服というのが私の中の基本スタイルになるのかな」と現時点では考えています。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。