生後3か月、便に血のようなものが混じっていて心配です。

赤ちゃんを診察していると、血便に対する相談を時々受けます。
今回は、生後6か月未満の血便について書きます。

まず確認すること

母乳メインか粉ミルクメインかを確認しましょう。
また、体重の推移も確認しましょう。

母乳メインであれば、リンパ濾胞過形成(リンパ濾胞増殖症)の可能性が上がります。
粉ミルクメインであれば、牛乳に対する新生児-乳児消化管アレルギーの可能性が上がります。

体重増加が良好であれば、リンパ濾胞過形成の可能性が上がります。
体重の増えが悪いときは、牛乳に対する新生児-乳児消化管アレルギーの可能性が上がります。

生後6か月未満の血便でまず確認することは、母乳メインか粉ミルクメインか、そして体重の推移です。

リンパ濾胞過形成

母乳栄養がメインであるなら、リンパ濾胞過形成を考えます。
これは、便に線状の出血が混じることで気づかれることが多いです。

大腸のリンパ節が母乳に含まれる様々な物質に対して反応し、腫大します。
その過程で大腸粘膜が破れ、出血することがあります。

この出血には痛みを伴いません。
そして赤ちゃんは元気です。
安心して様子をみましょう。
大丈夫です、数か月後には治ります。

私は次のように説明しています。

小児科専門医
「リンパ濾胞過形成という状態だと考えます。母乳が赤ちゃんの腸管を元気にしすぎて、腸粘膜が活発になって少し血が出てしまうことがあります。赤ちゃんは健康です。母乳をやめる必要はありません。数か月でこの血便は治まるので安心して下さい」

逆に、線状というには出血量が多かったり、赤ちゃんが苦しんでいるようであったり、体重増加がいまいちであったりするならば、リンパ濾胞過形成ではありません。
判断に迷うケースでは、自己判断されないことをお勧めします。

牛乳に対する新生児-乳児消化管アレルギー

粉ミルクがメインであるなら、牛乳に対する新生児-乳児消化管アレルギーを考えます。
血便単独であることもありますが、嘔吐や下痢、体重増加不良を伴うこともあります。

新生児-乳児消化管アレルギーは非IgE依存性反応と考えられていて、牛乳の特異的IgE検査では診断できません。
ALSTやパッチテストが有用であるという報告はありますが、診断のゴールデンスタンダードは経口負荷試験です。

リンパ濾胞過形成とは異なり、新生児-乳児消化管アレルギーは「安心して様子をみましょう」というものではありません。
何らかの対応が必要です。
したがって、生後6か月未満の血便で、粉ミルクがメインである場合や、赤ちゃんが苦しんでいる場合、血便が線状の微量な出血でない場合、嘔吐や下痢、体重増加不良を伴う場合は、受診が必要だと私は考えます。

なお、「牛乳に対する新生児-乳児消化管アレルギー」のことを私は昔「ミルクアレルギー」と呼んでいました。
短くて言いやすくて便利だったのですが、最近では「ミルクアレルギー」という言葉を使わないようにしています。
その理由はこちらに書きました。

ミルクアレルギーと牛乳アレルギーは違うんですか?

2017.03.26

生後6か月以降の血便は何を考える?

生後6か月以降の血便は、「母乳によるリンパ濾胞過形成ですから大丈夫です」とは言えません。
いろいろな疾患が鑑別に挙がります。
これについては、小児科ファーストタッチのp54-62に書きました。

まとめ

赤ちゃんの便に血のようなものが混じっていると心配だと思います。
生後6か月未満では、次の点に注意しましょう。

  • 母乳メインか粉ミルクメインか。
  • 体重の推移。
  • 赤ちゃんの全身状態。苦しんでいないか。
  • 血便が線状で微量か。
  • 嘔吐や下痢の有無。

母乳栄養で、体重の推移がよく、赤ちゃんの状態がよく、線状で微量の血便で、嘔吐や下痢がなければ心配いりません。
逆に判断に迷うケースでは、自己判断せず、病院に相談ください。

参考文献

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。