PFAPA症候群と他の遺伝性自己炎症症候群を鑑別するスコア。

PFAPAという症候群を知っていますか?

「周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・頚部リンパ節炎症候群」の頭文字をとって、PFAPA症候群と呼ばれます。

「PFAPAなんて聞いたことないです!」というお父さん・お母さんは多いと思いますが、小児科医からすればPFAPAはときどき経験し、稀ではない病気です。

PFAPAは3-8週間おきに、3-6日程度の高熱が出ます。
そのとき、口内炎や扁桃炎、頚部リンパ節炎などを伴います。

最初は「よく風邪をひく子どもだな」と感じます。
ですが、あまりにも頻回に長引く風邪をひくので、試しに採血検査をすると意外と炎症反応が高くて、溶連菌やアデノウイルス、EBウイルス、川崎病などいろいろな病気を疑いたくなってしまいます。

抗生剤は効かず、原因がよく分からないうちに解熱し、また1か月後に同じような症状を繰り返します。
そのため、お父さん・お母さん・子ども本人・小児科医全員が不安になる病気です。

今日はこのPFAPAという病気の診断について書きます。

PFAPAの診断

もっとも古いのはThomasらの診断基準です。

5歳未満で発症し、反復する発熱。

上気道炎症状を欠き、次の一つ以上を認める。
1.アフタ性口内炎
2.咽頭炎
3.頚部リンパ節炎(疼痛を伴うことあり)

周期性好中球減少症を否定する。

間欠期は無症状である。

成長発達は正常である。

Periodic fever syndrome in children.
J Pediatr. 1999; 135: 15-21.

ただ、この診断基準は臨床的にそぐわないように私は感じます。
それは「5歳未満」と「咽頭炎」という部分です。

5歳以上のPFAPAの報告例は稀ではありません。

また、私はPFAPAに特徴的な所見は、咽頭炎よりもむしろ「扁桃炎」であると感じています。
特に白苔を伴った扁桃炎を繰り返すとき、私はPFAPAを強く疑います。

私が経験的に納得しやすいPFAPA診断基準は、Thomasらのではなく、Padehの診断基準です。

いかなる年齢においても、月に1度の周期性発熱をみる。

滲出性扁桃炎と咽頭細菌培養陰性である。

頚部リンパ節炎。

アフタ性口内炎をみることあり。

間欠期は全く無症状である。

コルチコイド薬を1回投与するだけで即座に解熱する。

Periodic fever syndromes.
Pediatr Clin North Am. 2005; 52: 577-609.

Padehの基準では咽頭炎ではなく「滲出性扁桃炎」になっています。
またステロイドの反応性も診断項目に入っています。

ただ、Padehの基準についても私は完全に満足しているわけではありません。
頚部リンパ節炎のないPFAPAはありますし、論文中に示されたコルチコイド薬は60mg/kgとかなり多い量です。

では、結局私はどのようにPFAPAを診断しているかというと、私は「自己炎症性疾患診療ガイドライン2017」を使っています。

自己炎症性疾患診療ガイドライン2017

本書にはPFAPAの診断フローチャートが記載されています。

ポイントは以下になります。

  1. 周期性発熱:6-12か月に3回以上繰り返す。
  2. 発作時にCRPは上昇するが、プロカルシトニン値はほとんど上昇しない。
  3. 非発作時に炎症反応を認めない。
  4. 発作時に細菌感染やウイルス感染(EBウイルス、アデノウイルスなど)が証明されない。
  5. 川崎病・悪性疾患・自己免疫症候群、周期性好中球減少症ではない。
  6. 咽頭炎、アフタ性口内炎、頚部リンパ節炎のうち少なくても1つを伴う。
  7. 正常な成長・発達を示す。
  8. 他の遺伝性自己炎症症候群が除外できる(遺伝子検査で家族性地中海熱、メバロン酸キナーゼ欠損症、TNF受容体関連周期熱症候群、A20ハプロ不全症を除外することが望ましい)。

なお、参考所見として、「5歳までに発症することが多い」、「血清IgD値が高値になることがある」、「発熱発作時にPSL0.5-1.0mg/kg投与(1回または2回)で速やかに発作が抑制できる」などがあります。
1-8を全部満たせば、PFAPA症候群と診断できます。

これ、項目8が恐ろしく難しいです。
「他の遺伝性自己炎症症候群が除外できる」とさらりと書いていますが、遺伝子検査は普段の外来でさらりとできる検査ではありません。

PFAPA症候群と他の遺伝性自己炎症症候群を鑑別するスコア

ここで、ようやく本稿のタイトルとなった論文を紹介できます。

A diagnostic score for molecular analysis of hereditary autoinflammatory syndromes with periodic fever in children.(Arthritis Rheum. 2008; 58: 1823-32.)

この論文では、PFAPAが他の遺伝性自己炎症症候群と比べて、高年齢で、アフタ性口内炎を伴いやすく、腹痛や胸痛や下痢や家族歴を伴いにくいことを明らかにし、スコアリングシステムを作りました。

PFAPAを他の遺伝性自己炎症症候群を鑑別するスコア計算サイト

上記のサイトに所見を打ち込むだけなので、とても簡単です。

計算結果でscoreが1.32以上であればハイリスクであり、遺伝子検査をしたほうがいいとしています。
感度82%、特異度72%です。

まとめ

PFAPAの診断について書きました。

PFAPAの診断において難渋するのは「他の遺伝性自己炎症症候群が除外できる」という点です。

スコアリングシステムはその助けになりますし、自己炎症性疾患診療ガイドライン2017はPFAPA以外の自己炎症症候群についても記載がありますので、鑑別疾患に役立ちます。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。