小児アレルギー性鼻炎に新たな選択肢。舌下免疫療法の適応拡大。

今回は子どものアレルギー性鼻炎のお話です。

小児科医が診ている代表的なアレルギー疾患は次の4つです。

  1. アトピー性皮膚炎
  2. 食物アレルギー
  3. 気管支喘息
  4. アレルギー性鼻炎

今回は、4のアレルギー性鼻炎に対する治療に、私の中で大きなブレイクスルーがありましたのでご報告します。

舌下免疫療法が5歳から可能に

従来、アレルギー性鼻炎は対症療法しかありませんでした。
鼻水が溢れてしまう「鼻漏」という症状には抗ヒスタミン薬を処方し、鼻が詰まってしまう「鼻閉」という症状には抗ロイコトリエン受容体拮抗薬を処方します。
あとは、点鼻薬や点眼薬くらいでしょうか。
従来の基本的な治療はここにまとめました。

子どものアレルギー性鼻炎。小児科専門医に必要な最低限の知識8点。

2017.03.04

それが2014年からアレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種である舌下免疫療法が保険適応でできるようになり、アレルギー性鼻炎の治療選択肢が増えました。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)はアレルギー性鼻炎に対して根治を狙える治療法で、今までの対症療法とは違います。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)には未来があると私は感じています。
詳しくはこちらの記事に書きました。

減感作療法がアレルギー性鼻炎の運命を変える!根治につながる治療薬。

2017.03.02

ですが、2017年までの舌下免疫療法は小児科ではなかなか使いにくい薬でした。
というのは、2014年にスギ花粉エキスとしてシダトレンが、2015年にはダニアレルゲンエキスとしてミティキュアが販売されましたが、いずれも12歳以上でないと使用できない薬だったためです。

アレルゲン免疫療法(減感作療法)は3-5年は治療を継続しなければなりません。
私は小児科医として15歳くらいまでしか基本的に診療していませんので、12歳からしか使えない薬で、さらに治療に3-5年かかるというのは、なかなか高いハードルでした。

それが、2018年から5歳以上でも使えるシダキュアが新規販売され、さらにミティキュアが5歳以上でも使えるように適応拡大されました。
これにより、小児科医がアレルゲン免疫療法(減感作療法)を行えるチャンスは大きく増えました。

いつから開始するか

アレルギー性鼻炎の子どもを見ていて辛そうに感じるのは、受験勉強の時期だと私は感じています。
鼻炎は勉強への集中力を低下させます。
最近の抗ヒスタミン薬は眠くなりにくいとはいえ、それでも眠気を起こします。

アレルゲン免疫療法(減感作療法)はすぐには効果が出ません。
1年2年と続けてようやく効果が出てきます。
そう考えれば、個人的には受験の2年前から始めたいです。
つまり、中学受験をするなら10歳からおすすめします。

高校生になると保険の自己負担額が変わる自治体もあるでしょう。
10歳に開始して、中学3年生までに治療を終えることができれば、自己負担額も軽減されます。

経済的な面を除いても、高校生になって忙しくなるとなかなか月に1回受診するのは難しいでしょう。(アレルゲン免疫療法は月に1回は受診しなければなりません)

アレルギー性鼻炎のコントロールが必要になる時期、経済面、社会面など様々な視点で考えて、現時点で私は10歳くらいからアレルゲン免疫療法(減感作療法)をお勧めしています。
もちろん症状が重篤であればもっと早くから行うという選択肢もあります。

まとめ

舌下免疫療法が従来12歳以上からだったのが、5歳以上からできるようになったということと、それに対する私見を書きました。

他にも新しいシダキュアは従来のシダトレンとは違って室温保存できたり、導入が分かりやすかったりして、使いやすくなりました。

アレルギー性鼻炎で困っている子どもの負担を少しでも軽くするために、私はこれからも適切な治療を提示していきたいです。
今回5歳から舌下免疫療法が開始できるようになったのは、とても嬉しい変更です。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。