Mini-CEXを用いた研修医に対する効果的な医学教育。

兵庫県立柏原病院では、医学教育を前面に打ち出し、初期研修医の先生は年々増えています。

研修医の先生には効果的な医学教育を受けてもらい、プロフェッショナリズムに優れた医者になってもらわなければなりません。

教育の一つの方法として、「評価し、足りない点をフィードバックする」という手法があります。
この手法において、教育の第一歩は「評価すること」となります。

今回は研修医を評価する手法である「Mini-CEX」について書きます。

Mini-CEXとは?

Mini-CEXとはmini-Clinical Evaluation eXerciseの略で、簡易版臨床能力評価法と訳されます。

もともとはアメリカ内科学会がベッドサイドでの研修医の臨床能力を評価する目的で行っていた口頭試問をCEXという評価法を使った試験に変更したところから始まります。
このCEXは評価に2時間かかるという問題点がありました。

利便性の問題から簡略されたMini-CEXが開発されました。
Mini-CEXは1回あたり約15分で行うことができます。

また、評価後は5分のフィードバックを行います。
指導医は研修医に対して建設的なフィードバックを行い、次のレベルへの提案を記載します。

評価され、フィードバックされることで、研修医は自身の到達度や、どのような事が不足して何を学習しなければいけないのかを把握することができます。

Mini-CEXの実施

文部科学省が公表している医学教育モデル・コア・カリキュラムに、医学生に対するMini-CEXが書かれています。

また、日本小児科学会雑誌2012年11月号にも、日常診療の評価方法としてMini-CEXが紹介されています。

これらを参考に、Mini-CEX をまとめます。

Mini-CEXは、研修医の診察技能評価のため、入院病棟、外来、当直、救急等において、研修医が患者と関わる様子を15分程度観察します。

指導医は研修医の様子を7つの基準で、各基準6点満点で評価します。

Mini-CEXにおける評価の基準

  1. 病歴
    初診外来の場合は現病歴で聞くべきこと(症状の部位・性状・程度・経過・状況・増悪寛解因子・随伴症状・患者の対応)を聞いたか。
    最低限聞くべき他の項目(既往歴・アレルギー・内服薬・女性の月経と妊娠)を聞いたか。
    状況が許せば聞くべき他の項目(生活状況・家族状況・嗜好等)を聞いたか。
    正確で十分な情報を得たか。
    入院中の患者の場合はでその時点で把握しておくべき情報をしっかり聞けたか。
  2. 身体診察
    その時点で取ることが望ましい項目をチェックしたか。
    鑑別診断を立てるために取るべき項目をチェックしたか。
    患者に何をするかを説明し、不快感や遠慮に配慮したか。
  3. コミュニケーション
    患者が話しやすいように話を聞いたか。
    視線や表情や姿勢等の非言語コミュニケーションで不快感を与えなかったか。
    患者の解釈モデルや心理社会面についても情報を引き出したか。
    患者の理解度を確認したか。
  4. 臨床判断
    診断的検査を適切に選択し、指示・実施したか。患者にとっての利益とコスト・リスクを考慮したか。
    可能性の高い疾患、見落としてはいけない疾患を考えたか。
  5. プロフェッショナリズム
    患者に対して敬意、思いやり、共感を示し、信頼関係を形成したか。
    患者の不快感、遠慮、守秘義務、個人情報につき注意を払ったか。
  6. マネジメント
    適切な治療方法を選んだか。
    アセスメントとプランを患者が納得いくように説明したか。
    患者が何に注意したらいいか、次にどういう行動をとったらいいかを説明したか。
  7. 総合
    優先順序を適切につけたか。
    タイミングがよかったか。
    無駄が少なく迅速だったか。
    患者も評価者も納得でき、有効な判断をしたか。
    観察者がいなくてもこの患者を一人で診察できたか。

※4、6、7については、患者診察の後、研修医の考えを述べてもらい評価してもよい。

Mini-CEXの評価における注意点

  1. 研修医と患者のやりとりを直接観察してください。
    診察室に同席するか、カーテンの影に隠れているかは自由です。
    できるだけ研修医と患者の両方の表情を観察してください。
    学生から質問されたとき、または学生が自分の判断で患者に説明したことに重大な誤りがあるときを除いて、基本的には評価者は研修医の診察に口を挟みません。
  2. Mini-CEXを評価用紙に記入して下さい。
    1から6まで点をつけますが、3点以下は研修医が標準に達するような改善が必要であることを意味します。
  3. できるだけ間を置かずに、印象が残っているうちに、診察について研修医に直接フィードバックをしてください。
    “ダメ出し”だけではなく、良かった点も挙げてください。
  4. 評価表に指導医と研修医のサインを記入してください。

Mini-CEXを実施するタイミング

前述の小児科学会雑誌2012年11月号の報告では、筆者の先生はMini-CEXを夜間当直帯に初期研修医が一人の患者診察に関して指導医からMini-CEXを用いて評価してもらうシステムとしているようです。

小児科を志望していない初期研修医が小児科を研修する期間は多くの場合1か月のみでしょう。

前半の2週間で一度診たことがある症例に対し、後半の2週間で同様の症例が来た場合、初期研修医の先生に15分間の初診をしてもらい、その様子をMini-CEXで評価するのがよいと思います。

症例はあまり複雑ではないものがよいでしょう。
肺炎、尿路感染、インフルエンザ、アデノウイルス咽頭炎、喘息発作など、内科でも見られるようなありふれたものでいいと思います。
研修医にとっては、小児科特有の疾患である熱性けいれんや川崎病の患者さんへの説明はかなり難しい部類になるでしょう。

まとめ

Mini-CEXは研修医を評価するツールです。

いっぽうで、研修医のMini-CEXの点数がだんだん上がっていくのであれば、それはその病院の指導医たちの指導スタイルが良いという評価もできます。

すなわち、Mini-CEXは指導医を評価するツールでもあります。

私は2016年に臨床研修指導医を取得し、今回は柏原病院の指導医メンバーに加えて頂けたこともあるので、良い研修を受けられるように努めなければいけません。