第111回医師国家試験の良問37題。現場で役立つ小児科医の視点。

第111回医師国家試験は500問ありました。

medu4という予備校が出している情報では、そのうち小児科の問題は35問だったとのことです。

意外に少ないなあと思って、私も国家試験の問題を見てみました。

「これは小児科かな、これは小児科じゃないな」と言いながら仕分けすること数時間。

小児科の問題は全部で何問だったでしょうか。

その数、全部で72問でした!

まあ、26歳の喘息発作とかも「26歳だけど、小児科でも診られるよね」と言いながら仕分けた結果なので、過大評価したのは間違いありません。

極論を言えば、医師国家試験レベルの問題は何科のドクターであっても常識レベルなわけで、「小児科医なら500問ぜんぶ答えられる」という考え方もあります。

でも、「これは内科医や外科医よりも、小児科医が得意とする分野だよね」という視点で見ていくと、72問が小児科の問題になったという話です。

第111回医師国家試験の良問37題

さて、ここからが本題です。

この72問の小児科問題を良問と悪問に仕分けします!

  • 良問の定義:研修医が知っていると、現場で役立つ知識。
  • 悪問の定義:研修医が知っていても、現場で役立たない知識。

現場で役立つのかどうかを決めるのは、私の主観です。

近年、良問が増えてきたとされる医師国家試験問題。

私の基準では、良問が多いのか、それとも悪問が多いのか。

その結果は……。

かろうじて、良問のほうが多いという結果です!

今回は、良問に分類した問題37個について、良問とした理由を書いて行きます。

「悪問のほうが気になる!」という人は、こちらの記事もどうぞ。

臨床では役に立たない医師国試の悪問35題について小児科医が考える。

2017.03.23

111A2

神経線維症I型について正しいのはどれか

a.聴神経腫瘍を合併する。
b.脊椎の変形は幼児期から発症する。
c.神経線維腫は学童期以降に出現する。
d.カフェオレ斑は生後6か月以降に出現する。
e.カフェオレ斑の数と神経線維腫の数は相関する。

解答C

カフェオレ斑は健診でも外来でも突然遭遇することがあります。細かい知識も含め覚えておくと、思わぬところで役立ちます。実地に役立つ良問です。

111A12

疾患と症状の組み合わせで誤っているのはどれか。

a.ノロウイルス感染症-嘔吐
b.甲状腺機能亢進症-便秘
c.上部消化管出血-黒色便
d.潰瘍性大腸炎-粘血便
e.消化管閉塞症-腹痛

解答b

いずれも、小児科外来では多い主訴です。代表的な鑑別疾患は覚えておきましょう。実地に役立つ良問です。

111A39

18歳の男子。胸痛と呼吸困難とを主訴に来院した。ランニングの途中に突然の右胸腹部痛と呼吸困難とが出現し、約10分様子をみていたが呼吸困難が更に悪化したために来院した。脈拍104/分、整。血圧90/60mmHg。SpO2 92%(room air)。頸動脈の怒張を認める。呼吸音は右側で減弱、右胸部の打診で鼓音を呈している。酸素投与を開始し、胸部エックス線写真を撮影したところ右肺の完全虚脱と左肺への縦隔偏位を認めた。
直ちに行う処置はどれか。

a.下肢挙上
b.胸腔ドレナージ
c.昇圧剤投与
d.人工呼吸管理
e.鎮痛薬投与

解答b

打診で胸部の鼓音をとれる研修医はまずいません。救急外来に胸痛と呼吸困難の患者がきたとき、上級医が来るまでに研修医ができることとして、胸部レントゲンと心電図が大切です。胸腔ドレナージは研修医単独で行うことはありませんが、迅速に処置するために、救急外来の看護師さんに胸腔ドレナージの準備をお願いすることはできます。患者さんの救命率を上げる良問です。

111A54

5歳の男児。咳嗽と呼吸困難とを主訴に両親に連れられて来院した。3日前から発熱、咳嗽および喘鳴が出現したため、かかりつけ医を受診しβ2刺激薬吸入と経口副腎皮質ステロイドが処方された。昨夜から解熱したが呼吸困難のため夜間眠れなくなり、再度かかりつけ医を受診したところ喘鳴と鎖骨上窩の皮膚の握雪感とを認めたため紹介された。来院時、会話ができない状態であった。
この患児の胸部エックス線写真で予想される所見はどれか。2つ選べ。

a.心拡大
b.皮下気腫
c.肺過膨張
d.胸腺肥大
e.肋間の狭小化

解答b,c

検査の前に検査結果を予測する習慣はぜひ身につけましょう。臨床の基本でもある良問です。

111B1

検者が右利きの場合、髄液穿刺を行うのに最も適切な被検者の体位はどれか。

a.座位
b.砕石位
c.腹臥位
d.右側臥位
e.左側臥位

解答e

小児科は髄液検査を頻繁にします。研修医であっても、髄液検査をする機会はすぐに訪れるでしょう。現場に即した良問です。

111B19

妊娠20週の胎児について正しいのはどれか。

a.網膜が完成する。
b.造血は主に骨髄で行われる。
c.生理的臍帯ヘルニアを認める。
d.肺では肺胞の発達が完成する。
e.心拍出量は右心室からが左心室からよりも多い。

解答e

在胎22週でも救命する小児科にとって、妊娠20週の胎児を想像することは大切です。臨床的に無意味かもしれませんが、小児科のスケールを感じさせる良問です。

111B29

正期産児より早産児にみられる所見はどれか。

a.うぶ毛が多い。
b.耳介軟骨が厚い。
c.皮下脂肪が厚い。
d.皮膚角化層が厚い。
e.足底のしわが多い。

解答a

研修医がよくみる赤ちゃんは在胎35週から41週ではないでしょうか。35週、36週、37週、38週、39週、40週、41週で、すべて赤ちゃんの印象が違います。赤ちゃんの細かな点を観察できる習慣が身につきます。また未受診母体から生まれた週数不明な赤ちゃんを診察するときにも必要な知識です。臨床的にも役立つ良問です。

111B30

保健所の業務はどれか。

a.生活保護の認定
b.食品に関する営業所の監視
c.予防接種後の健康被害救済
d.地域包括支援センターの設置
e.休日夜間急患センターの設置

解答b

食中毒を疑ったら報告です。このブログでも書いたくらいの良問です。

食中毒で最多!カンピロバクター腸炎の抗生剤治療と保健所への届出。

2017.02.27

111C3

乳児において循環血液量減少性ショックを生じる可能性がある疾患はどれか。

a.脊椎損傷
b.急性腎盂腎炎
c.食物アレルギー
d.心タンポナーデ
e.ウイルス性胃腸炎

解答e

胃腸炎では、手足の冷たさや、毛細血管充満時間を確認し、常に循環血液量減少性ショックの可能性を疑いましょう。胃腸炎はいまだに発展途上国では死亡者が多い怖い病気です。ショックを身近に感じさせる良問です。

111C19

6か月の乳児。発熱を主訴に母親に連れられて救急外来に来院した。意識は清明であるが、ぐずっている。体温38.5℃、心拍数144/分、整。血圧90/60mmHg、呼吸数30/分。SpO2 98%(room air)。毛細血管再充満時間4秒と延長している。
この患児において重症感染症を示唆する所見はどれか。

a.体温
b.心拍数
c.血圧
d.呼吸数
e.毛細血管再充満時間

解答e

毛細血管再充満時間は研修医でも簡単にとれる所見で、臨床的意義はとても高いです。良問です。

111C27

髄液検査を行うこととした。
鑑別診断のために脳脊髄液検査の結果と対比すべき血液検査の項目はどれか。

a.血糖
b.総蛋白
c.好中球数
d.ナトリウム
e.クレアチニンキナーゼ

解答a

小児で髄液検査をする理由は、細菌性髄膜炎の除外目的です。血液中の糖は必ず見ておきましょう。そうしないと、髄液検査の結果で判断に迷うことになります。臨床に即した良問です。

111D14

HTLV-1について正しいのはどれか。2つ選べ。

a.レトロウイルスである。
b.CD8陽性T細胞に感染する。
c.感染経路は母乳がほとんどである。
d.感染者は日本では東日本地域に多い。
e.感染から成人T細胞白血病の発症までの期間は5年以内である。

解答a,c

HTLV-1と母乳栄養について、正しい知識を持つことは大事です。pubmedなどで論文を調べる価値がある、いいテーマです。テーマがよいため、良問とします。

111D23

20歳の男性。右上下肢伸展位と右共同偏視が出現した後、全身けいれん発作が出現したため救急車で搬入された。意識レベルはGCS7(E2V2M3)。来院時も右上下肢の強直間代性けいれんが持続している。体温38.2℃。心拍数96/分、整。血圧158/96mmHg。呼吸数32/分。SpO2 98%(鼻カニューラ2L/分酸素投与下)。
第一選択となる薬剤はどれか。

a.ジアゼパム
b.ミダゾラム
c.フェニトイン
d.カルバマゼピン
e.プロポフォール

解答a

救急外来にけいれんが来たら、病棟の患者さんが突然けいれんしたら、真っ先に呼ばれるのは研修医です。けいれんの対応は絶対にできてください。ジアゼパムはセルシンのことです。商品名を知らないと、看護師さんに指示を出せないので、併せて覚えましょう。投与量などは、上級医の先生にチェックしてもらえばOKです。とにかく急いで準備だけしておくんです。酸素投与ができているのもいいですね。臨床に即した良問です。

111D26

26歳の男性。健康診断で蛋白尿と血尿を指摘されて来院した。数年前から尿潜血を指摘されていたがそのままにしていた。血圧120/76mmHg。尿所見:蛋白2+、潜血2+、沈査に変形赤血球と赤血球円柱とを認める。血液所見:尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。腹部所超音波検査で異常を認めない。
次に行うべき検査はどれか。

a.膀胱鏡
b.腎生検
c.腹部CT
d.腎動脈造影
e.レノグラム

解答b

蛋白尿や血尿は小児科外来でよく相談されます。学校検尿のおかげです。血尿単独であれば3か月おきくらいの経過観察が基本ですが、蛋白尿が3か月続くなら腎生検が必要です。実臨床に即した良問です。

111D27

1歳0か月の男児。午後9時45分に熱湯による熱傷のため救急車で搬入された。午後9時ごろ、自宅でテーブルの上のポットを両親が目を離した間に倒し、熱湯をかぶったため両親が救急車を要請した。意識は清明で激しく泣いている。体温36.2℃。心拍数152/分、整。呼吸数40/分。SpO2 100%(room air)。患児の皮膚の写真を別に示す。
深度が最も深いと思われる熱傷部位はどれか。

a.赤いところ
b.赤いところ
c.白いところ
d.赤いところ
e.赤いところ

解答c

熱傷を見たときに研修医が行うべき大切なことは、上級医に的確な情報を伝えることです。3度熱傷があったのかなかったのかは治療に大きく影響します。臨床に即した良問です。

111D30

4か月の乳児。嘔吐、血便および活気不良のため母親連れられて来院した。2日前の朝から便がゆるく哺乳不良であった。昨日の朝に自宅近くの診療所を受診し安静を指示されていた。今朝から嘔吐が続き顔色も悪く、ぐったりして血便が見られたため夕刻に受診した。呼びかけには眼を開けるが、すぐに閉じてしまう。体温37.8℃。脈拍160/分(微弱)、整。血圧70/50mmHg。呼吸数40/分で浅い。SpO2 96%(マスク2L/分 酸素投与下)。毛細血管再充満時間3秒と延長している。栄養状態は良好。顔面は蒼白。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満し、筋性防御を認める。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.6g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、Na135mEq/L、K3.8mEq/L、Cl98mEq/L、CRP10mg/dL。急速輸液を開始した。腹部超音波像はターゲットサインを認める。
次に行う治療はどれか。

a.浣腸
b.緊急手術
c.昇圧薬投与
d.利尿薬投与
e.非観血的整復

解答b

腸穿孔を起こしている腸重積です。乳幼児の嘔吐、本当に帰してもいいですか?腸重積を経過観察してしまうと、とんでもないことになりますよ。腸重積の怖さを伝える良問です。

111D40

12歳の男児。サッカーの練習をすると頭が痛くなることを主訴に父親に連れられて来院した。安静時は体位にかかわらず頭痛はない。意識は清明。脈拍76/分、整。血圧126/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経学的所見に異常を認めない。血液所見と血液生化学所見に異常を認めない。頭部MRIのT2強調矢状断像では小脳が大後頭孔に陥入している。
今後発症する可能性が高いのはどれか。

a.水頭症
b.脳梗塞
c.脊髄空洞症
d.くも膜嚢胞
e.小脳血管芽腫

解答c

「疾患の未来」を考えることは大切です。研修医はどうしても「疾患の現在」ばかりに目が行ってしまいます。医者としての目線を伝える良問です。

111D41

6歳の女児。時々、会話が途切れることがあるため母親に連れられて来院した。これまでに2回の単純型熱性けいれんの既往があるが、成長や発達に異常を認めない。身体所見に異常を認めない。過呼吸時の脳波で3Hzの棘徐波複合を認める。
この所見が出現したときの症状はどれか。

a.開眼する。
b.顔色が蒼白になる。
c.全身がけいれんする。
d.呼びかけに反応しない。
e.頭部が前屈し両上肢が挙上する。

解答d

疾患の症状を知らないと、その疾患を疑うことができません。そして、その疾患を疑ったのなら、逆にその疾患の特徴的な症状がないか探してみましょう。「ぼーっとしているときは、呼びかけに反応しますか?」という質問ができるようになるとよいです。診察の基本を伝える良問です。

111E19

二次性徴について正しいのはどれか。

a.女子では陰毛の出現が最初の徴候である。
b.男子では腋毛の出現が最初の徴候である。
c.発言は暦年齢より骨年齢によく相関する。
d.陰茎の成長は思春期後期に出現する。
e.身長急伸は初経の後に起こる。

解答c

思春期早発は一定の割合で外来に来ます。時々再確認しておかないと、すぐに忘れます。臨床的に意義があるので良問とします。

111E27

医師の守秘義務を定めた法律はどれか。

a.医師法
b.医療法
c.刑法
d.個人情報の保護に関する法律
e.特定機密の保護に関する法律

解答c

このブログの記事にもしたことがある大切なテーマです。良問です。

医者の守秘義務。判断が難しい6つのケース。

2017.01.15

111E33

骨年齢が遅延するのはどれか。

a.単純性肥満
b.思春期早発
c.中枢性尿崩症
d.甲状腺機能低下症
e.先天性副腎皮質過形成

解答d

低身長は小児科ではよく診る疾患です。低身長の鑑別は頭に入れておきましょう。臨床に即した良問です。

111E35

7か月の乳児の所見として異常を疑うのはどれか。2つ選べ。

a.四つ這いができない。
b.モロー反射が出現しない。
c.ランド―反射出現しない。
d.バビンスキー反射が出現しない。
e.顔にかけたタオルを取り除かない。

除外問題

バビンスキー反射はやがて消えるべき反射ですので、生後7か月時点で診られなくても「もう消えたのか、早い子だね」と思うのみで、あまり病的な印象は持ちません。むしろ、バビンスキー反射が2歳になっても残っているほうが病的です。私だったらcとeを選びますが、想定されていた答えはどうなんでしょうね。何が異常で、何が異常ではないかは、研修医として必要な能力です。何が異常か分からない研修医は、異常に気づくことすらできませんので、上級医に相談することもできません。そして異常を知るためには、正常も知らなければなりません。正常の赤ちゃんをたくさん見るのも、小児科研修医に必要なことです。良問とします。

111E51

12歳の男児。肺結核の接触者検診のため来院した。同居している祖父が肺結核と診断されており、患児は2週間前から37.5℃前後の微熱と咳嗽が続いている。
対応として正しいのはどれか。

a.診察時は手袋を着用する。
b.聴診器を患児専用にする。
c.トイレでの採痰を指示する。
d.医療従事者はN95マスクを着用する。
e.診察室内で患児が接触した場所の消毒を行う。

解答d

患者さんは普通のマスクをさせて個室へ、医療従事者はN95マスクをします。N95は学生のときに、必ず1度はつけてみるべきです。N95の恐ろしさを知りますよ(息がしづらいんです)。臨床に即しているので良問とします。

111E54

1か月の乳児。発熱を主訴に両親に連れられて来院した。本日から38℃台の発熱を認めたため夜間の救急外来を受診した。咳や鼻汁などの気道症状はなく、嘔吐や下痢もない。しかし、何となく元気がなく泣き声も弱々しい。哺乳量も普段の半分程度であるという。在胎39週、2980gで出生した。昨日まで期限がよく、母乳栄養で体重増加は良好であった。咽頭は発赤を認めず、心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。大泉門は平坦である。血液検査に異常なし。
両親に対する説明として適切なのはどれか。

a.「明日の外来を受診してください」
b.「重症感染症の疑いがあります」
c.「解熱薬を使用しましょう」
d.「肝機能異常があります」
e.「光線療法が必要です」

解答b

3か月未満の発熱は髄液検査を考慮しましょう。基本中の基本ですが、この基本は実臨床でもとても大事ですので良問とします。

111G17

羊水の産生および吸収への関与が最も小さいのはどれか。

a.羊膜
b.胎児肺
c.胎児腎臓
d.胎児直腸
e.胎児皮膚

解答d

知識を問うというより、考えさせる問題なのでしょう。胎児が胎内で便をしない理由を考えたことがあるでしょうか。羊水は上部消化管で吸収され、直腸まで羊水がやってこないんです。考えさせる問題として、良問にしておきます。

111G43

6歳の女児。ヒルシュスプルング病の定期検診で来院した。1歳時に回腸肛門吻合述を受けた。現在、在宅で中心静脈栄養、経腸栄養剤および普通食で栄養支援をしている。中心静脈栄養は1000ml/日で、12.5%がブドウ糖で、7.5%ふがアミノ酸である。推定必要エネルギー量は1450kcal/日である。中心静脈栄養から離脱できるか評価したい。
エネルギー必要量のうち、現時点で中心静脈栄養が占めている割合にもっとも近いのはどれか。

a.20%
b.25%
c.45%
d.55%
e.75%

解答d

ただの計算問題です。中心静脈栄養の患者さんの栄養を実際計算するのは、研修医になってからもよくします。良問です。

111G51

9か月の乳児。嘔吐と下痢とを主訴に両親に連れられて来院した。2日前に乳児健康診査の帰宅後から機嫌が悪かった。昨日からは嘔吐と頻回な下痢が出現し、尿量も減少しているという。体重7800g。体温37.0℃。心拍数120/分、整。呼吸数40/分。毛細血管再充満時間3秒と延長している。顔色は不良で、皮膚ツルゴールは低下している。
この患児の脱水状態の重症度判定にもっとも適切なのはどれか。

a.心拍数
b.血清Na値
c.1日の尿量
d.血清浸透圧
e.体重減少の程度

解答e

実際は、体重減少の程度って分からないんです。今回みたいに、2日前に乳児健診があると、体重の推移が分かるので、すごくラッキーです。体重減少の程度が分かることが、すごくラッキーであるということを気づかせる良問です。

111G53

日齢5の新生児。在胎39週、出生体重2840gで帝王切開で出生した。Apgarスコアは5点(1分)、9点(5分)。本日、心雑音を認めたため、心エコー検査を行ったところ大動脈遠位弓部狭窄、心室中隔欠損、および動脈管開存を認めた。
今後、この患児にみられる可能性が高い症候はどれか。

a.上肢のチアノーゼ
b.上下肢の血圧差
c.尿量の増加
d.stridor
e.脾腫

解答b

視点を未来に向けさせる良問です。

111H9

皮内注射について正しいのはどれか。

a.注射部位をよく揉む。
b.インスリン投与に用いる。
c.注射後24時間は入浴を控える。
d.血液の逆流を確かめてから注入する。
e.刺入あとは皮膚の表面と平行に針を進める。

解答e

小児科で皮内注射するのは、アレルギー検査かツベルクリンくらいです。皮内注射は結構難しいんですよ。ぜひ研修医の間に練習してみてください。良問です。

111I3

細菌性髄膜炎の原因菌でセフェム系抗菌薬が有効でないのはどれか。

a.緑膿菌
b.肺炎球菌
c.リステリア
d.インフルエンザ菌
e.クレブシエラ属菌

解答c

小児科ではおなじみのリステリア。起炎菌が分かるまで、髄膜炎では2剤併用(ABPC+CTXなど)するのは、このためです。臨床に即しているので良問とします。

111I8

ビタミンK欠乏症の患者において血液検査で低値となるのはどれか。

a.FDP
b.PT-INR
c.PIVKA-II
d.ヘパプラスチンテスト
e.APTT

解答d

新生児の血便や吐血をみたら、まずはお母さんの乳頭が切れていないか確認し、次にビタミンK関連を凝固系検査でチェックします。ビタミンK欠乏では、PIVKA-IIは上昇し、ヘパプラスチンテストは下がります。良問です。

111I14

注意欠陥多動性障害(ADHD)について正しいのはどれか。

a.愛着障害を伴う。
b.言語発達が遅れる。
c.男児より女児が多い。
d.親の養育態度が原因である。
e.初めての状況で多動が増悪する。

解答e

症状を知らないと疑えないという典型的な問題です。良問です。

111I21

アレルギー性鼻炎における鼻閉の発症に関与するのはどれか。

a.血清IgG4
b.アドレナリン
c.ロイコトリエン
d.C1インヒビター
e.プロスタグランディン

解答c

アレルギー性鼻炎についてはこのブログでも記事にしました。鼻閉型には抗ロイコトリエン薬です。研修医レベルに必要な知識ではないかもしれませんが、アレルギー性鼻炎はもはや国民病であり、何科のドクターであってもアレルギー性鼻炎は知っておくべきでしょう。そういう意味で良問とします。

子どものアレルギー性鼻炎。小児科専門医に必要な最低限の知識8点。

2017.03.04

111I33

緊急開腹手術を必要とする疾患はどれか。2つ選べ。

a.胃破裂
b.肥厚性幽門狭窄症
c.中腸軸捻転症
d.臍ヘルニア
e.ヒルシュスプルング病

解答a,c

新生児の消化器エマージェンシー。腸回転異常から中腸軸捻転症の流れは、小児科医では比較的よく遭遇します。胃破裂も危険です。消化器疾患を疑ったときは、まずは腹部レントゲンとエコーで、胃破裂と中腸軸捻転症を除外しましょう。(中腸軸捻転の除外は少し難しいのですが)臨床的でいい問題です。

111I64

20歳の男性。右顔面の青色の色素斑を主訴に来院した。3年前から色素斑が出現し、次第に濃くなってきたため受診した。顔面の写真を別に示す。
この疾患について正しいのはどれか。

a.表皮顆粒層のメラニン沈着による。
b.レーザー治療が有効である。
c.日本人では少ない。
d.悪性化しやすい。
e.遺伝性である。

解答b

太田母斑に関する問題です。母斑は本当に相談されるケースが多いです。皮膚科で相談されるのは当然ですが、予防接種や健診時に突然相談されることが多いです。よくみる母斑は、つねに覚えておかなければなりません。良問です。

111I73

26歳の女性。呼吸困難を主訴に来院した。1週間前に咽頭痛、鼻汁、微熱が出現した。その後解熱したが本日の午前2時ごろから呼吸困難が著明となったため午前4時に救急外来を受診した。小児期に気管支喘息と診断されたが中学生時に寛解している。呼吸困難はみられるが会話はかろうじて可能である。SpO2 89%(room air)。両側の胸部全体にwheezesを聴取する。酸素投与を開始し、末梢静脈路を確保した。
直ちに行うべき治療はどれか。2つ選べ。

a.抗菌薬点滴静注
b.副腎皮質ステロイド吸入
c.アミノフィリン点滴静注
d.短時間作用性β2刺激薬吸入
e.ロイコトリエン受容体拮抗薬内服

解答c,d

喘息の急性期治療は、研修医でもすぐに必要となる知識です。良問です。

111I75

出生直後の新生児。早産児のためにNICUに入院した。母親は前期破水のため2日前から入院していた。在胎26週、出生体重980gで経腟分娩で出生した。Apgarスコア4点(1分値)。体温37.3℃。心拍数160/分、整。呼吸数50/分。SpO2 90%(保育機内の酸素投与30%)。大泉門は平坦。呻吟と肋間腔の陥没とを認める。
考えられる疾患はどれか。2つ選べ。

a.先天性肺炎
b.呼吸窮迫症候群
c.胎便吸引症候群
d.新生児一過性多呼吸
e.Wilson-Mikity症候群

解答a,b

在胎26週に関する知識が研修医に必要ではありませんが、選択肢の上の4つは新生児の呼吸障害において常に念頭をおくべき疾患なので、良問とします。

第111回医師国家試験の良問まとめ

全部で37題を良問に認定しました。

これらの問題は、小児科医として診療していくうえで、とても大切なテーマを含んでいます。

国家試験はあくまで国家試験で、実臨床とは関係ないと思われがちです。

ですが、今回の検証で、医師国家試験には患者さんを診るうえで大切なことが多く含まれるということが分かりました。

4月から新しく医者となる人は、小児科研修を受けるのであれば、その前にこの37問をもう一度見なおしてから研修に来てくれると、いい研修が受けられるのではないかと思います。

せっかく受けた試験なんですから、受けっぱなしというのはもったいないです。

なお、第111医師国家試験の合格率について思うことをこちらに書きましたので、併せてどうぞ。

第111回医師国家試験の合格率88.7%に感じる4つの疑問。

2017.03.21