Pediatrics Internationalに投稿する7つのステップ。

少しでも気軽に論文を投稿しようというこのコーナー。
前回は、Pediatrics Internationalの投稿規定について書きました。

Pediatrics Internationalの投稿規定。気軽に論文を書くワザ。

2017年1月18日
今回は、実際に投稿するステップを紹介します。

参考文献をMendeleyに登録する

参考とする論文はMendeleyに登録しておくとよいです。
Mendeleyは無料ですし、プラグインを使えば参考文献としてWORDに出力できます。
googleで「Mendeley 使い方」と検索すれば簡単に使い方が分かりますので、ぜひ使ってみてください。

もちろんMendeleyよりもEndNoteのほうが優秀です。
ですがEndNoteは高価です。
病院が研究費としてEndNoteを購入してくれる場合もありますので、もし買ってもらえそうならお願いしましょう。

原稿を書く

完璧に書き上げる必要はありません。
文字数や参考文献の数は気にせずに、どんどん書いて行きましょう。

投稿規定ではwordで、ダブルスペースとあります。
私はフォントサイズは12、フォントはTimes New Roman、改行幅はダブルスペース、紙のサイズはレターサイズにしました。

ただ、論文がacceptされたあと、出版社のcopy editerが手直ししてくれるのですが、そこではフォントサイズ14に変更されていました。
もしかするとフォントサイズ14のほうがいいのかもしれません。

形式段落にはスペース5文字くらい空けましょう。

オンライン投稿・査読システム

ある程度書けたら、オンライン投稿・査読システムを使ってみましょう。
システムに登録することで、論文を投稿するには、あと何が足りていないのかを知ることができます。

http://www.jpeds.or.jp/modules/publications/index.php?content_id=7

上記から、ScholarOne ManuscriptsTMにアクセスしましょう。

アカウントを作る

下図のような画面が出てきますので、Create an accountをクリックし、アカウントを作ります。
このとき、ORCID iDも登録できます。
(ORCIDは登録していなくても投稿できます。ですが、登録しておいたほうがいいと思います)

無事IDとpasswordを取得でできたなら、ログインします。
次の画面で、Homeの右にある「Author」をクリックします。

Start New Submissionという項目が出ますので、それををクリックします。
その先でBegin Submissionをクリックします。
(続きから行うときは、Unsubmitted and Manuscripts in draftからcontinueを選びます)

Step 1: Type, Title, & Abstract

論文のタイプを選びましょう。
おそらく症例報告でしょうから、下から2つ目のClinical Notesを選択します。
すると下図のように、タイトルと分野を書くように求められます。

タイトルは80文字以内です。
文字カウントは、自動的に行われます。
タイトルを書いて、ジャンルを選んだら、Save & Continueをクリックしましょう。

Step 2: Attributes

キーワードを5つ入れます。
キーワードはMeSHに登録されたものがよいです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/からタブをMeSHに切り替えて、あなたが思ったキーワードを入れてみましょう。
MeSHに登録されたキーワードの候補が検索されます。

これだ!と思ったキーワードを5つ選べたら、下図のように登録してみましょう。

タイトルには含まれない単語をキーワードに設定したほうが、検索されやすくなります。
よいキーワードを5つ入れ終えたら、Save & Continueで次に行きます。

Step 3: Authors & Institutions

著者を加えていきましょう。
Add authorに著者のE-mailを入れると、ScholarOne Manuscriptsに登録されたアカウントから自動的に著者情報が出力されます。
もし共同著者がScholarOne Manuscriptsにアカウントを登録していなければ、登録してもらうようにしましょう。(ORCIDは登録していなくても大丈夫です)
ACTIONSでcorresponding authorを変えられたり、著者を消したりできます。

5人入れ終えたら、Save & Continueで次に行きます。

Step 4: Referees

査読者になって欲しい人を2人以上入力します。
査読者になって欲しくない人も入力できますが、こちらは入力しなくてもよいです。

下図のような登録画面に査読者の情報を入力します。
名前とメールアドレスと施設名と査読者になって欲しいか、なって欲しくないかを書きます。


査読者は参考文献の著者でもいいですし、その分野の著名な人でもいいです。
上司に相談して決めるのがいいでしょう。
すぐに適任者を教えてもらえます。

Step 5: Details & Comments

Cover Letterを書きます。
といっても、原稿が書き終わってない段階でCover Letterを書くことはできないでしょう。
Cover Letterには、あなたが書いた論文の「ウリ」を書かなければならないからです。

しかし、原稿が出来上がっていても、私のような論文初心者にはCover Letterはおそらしく高いハードルです。
書いたら必ずCover Letterもネイティブにチェックしてもらいましょう。

一例となるかどうかは分かりませんが、私のCover Letterを添付します。

(編集長の名前), MD, PhD
Editor-in-Chief
Pediatrics International

12 October 2016

Re: “論文のタイトル”

Dear Dr (編集長の苗字),

Please find enclosed the above manuscript by Mitsuhiro Okamoto et al for your consideration for publication as a clinical note in Pediatrics International.

(論文の要旨を書きます。丁寧に、的確に。論文に書いていないことを述べる必要はありませんし、その論文を過大評価するような内容もよくないと思います)

We believe that these results warrant publication in Pediatrics International to reach the relevant general pediatric audience. Children with IgAN are often first discovered by a general pediatrician and not a renal specialist.

We confirm that the manuscript is being submitted to Pediatrics International only, that it has not been and will not be submitted elsewhere. Should it be published in Pediatrics International, it will not be published elsewhere without the permission of the Editors.

Thank you very much in advance for your attention. We look forward to hearing from you at your earliest convenience.

Yours sincerely,

Mitsuhiro Okamoto, MD
Department of Pediatrics, Akashi Medical Center,
743-33, Yagi, Okubo-cho, Akashi City, Hyogo, 674-0033, Japan
Email: m-okamoto@amc1.jp
Telephone: +81-78-936-1101

その下に、Running titleや図表の数、本文の単語数などを書きます。
Running titleは40文字以内ですが、省略語を使ってもかまいません。
再投稿ではないのでNO、COIは送る予定ですからYESでよいと思います。

cover letterも含めて、ここのステップはまだ全部書けないかもしれませんが、とりあえずSave & Continueで次に行きます。

Step 6: File Upload

ここのステップが一番ややこしいです。

まず、COIファイルを用意しましょう。
著者は5人いるでしょうから、5人分のCOIファイルを用意します。
http://www.icmje.org/downloads/coi_disclosure.pdfからpdfファイルをダウンロードしてください。
名前と、筆頭著者かどうか、論文のタイトルなど必要な項目を書き、あとはすべて「NO」となるはずです。
全て入力できたら、そのPDFファイルを「名前をつけて保存」しましょう。
誰のCOIファイルなのか分かるようなファイル名にするとよいですね。

COIファイルが用意できたら、それをアップロードします。
FILE DESIGNATIONをConflict of Interest Formにします。

なぜか一番上のFILE DESIGNATIONだけがConflict of Interest Formで固定になっていますが、これはきっと「COIを絶対に送ってね!」という意味なんでしょう。
上図のように、5人分まとめて送ってしまいましょう。

COIファイルをアップロードできたら、今度は本文と図表をアップロードしましょう。

画像の横幅は2480ピクセル以上を一つの基準にしてください。
2480ピクセルとした理由は、出版社にそう指定されたわけではなく、単純にA4サイズを解像度300dpiで出力するには2480ピクセル必要だからです。
(実際に横幅いっぱいに印刷されるグラフはありませんが)

エクセルで書いたグラフを図に使用する場合、私はエクセルでPDFファイルにしてからフォトショップで保存しています。
PDFにしておくことで、好きな画像サイズに変換できるからです。
図はTIFF形式で保存しましょう。
jpgやpngではダメだと思います。
TIFFはフォトショップや、フリーソフトならpixiaがおすすめです。

図表には説明文も書きます。
Link textの意味が分かりませんでしたが、空白で送っても問題ありませんでした。

すべてアップロードできましたか?
次が感動の瞬間です。
画面中央ほどの右側にある「View PDF proof」を押してみましょう。
あなたが送ったファイルたちがPDFに変換されます。
一気に論文っぽくなるので、私は感動しました。

もしうまくPDFにできない時は、本文の用紙サイズがLetterサイズになっているか確認してください。

ここも原稿が出来上がっていないと完了できないステップです。
完了できなくても、Save & Continueで次に行ってしまいましょう。

Step 7: Review & Submit

最後に確認します。
問題がなければ一番下のContinue to Paymentが押せるようになります。

あとは20ドル払って、それで投稿完了です。
クレジットカードって便利とつくづく思います。

まとめ

どうでしょう。
ここまでやってみると、論文投稿できるような気がしてきませんか?

オンラインで投稿できるなんて、夢のような時代だなって思いました。
きっと昔の論文って、投稿がとても大変だったと思います。

投稿し受理されると、すごく嬉しいものです。
その感動を知るには、やはり投稿するしかないと思います。

医学の発展のために、ぜひ投稿してみましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。