10月11月12月出産予定者へのインフルエンザワクチンが赤ちゃんを守る。

インフルエンザワクチンを接種できるのは、生後6か月からです。

では、生後6か月未満、すなわち生まれたばかりの赤ちゃんをインフルエンザから守るためにはどうすればいいでしょうか。

今回は、お母さんがインフルエンザワクチンを接種することで、赤ちゃんがどれだけインフルエンザから守られるかについて、報告します。

論文の概要:母にインフルエンザワクチンを接種することで赤ちゃんを守ることができるか?

Protective Effect of Maternal Influenza Vaccination on Influenza in Their Infants: A Prospective Cohort Study.(J Infect Dis. 2018 Mar 15; 217(6): 878–886. )

読みながら、どうも既視感を持ちました。
なんでしょう、このデジャブ。
答えは、すぐに分かりました。

これ、ほむほむ先生がすでに解説してくれてます。

ですが、論文って面白いもので、読む人が変わると、受ける印象も変わるんです。
それがいいことか悪いことかは置いておき、私の感想を書いていきます。

これは大阪市立大学の論文で、大阪府にあるすべての産婦人科が協力しています。
その数、117施設です。

丹波市には産科は1施設しかありません(当院のみ)。
さすが大阪です。

研究の方法

2013年10月、11月、12月に生まれた3441人の赤ちゃんが対象です。
お母さんが2013年にインフルエンザワクチンを接種したかどうか、赤ちゃんが2014年5月までにインフルエンザになったかどうかをアンケートしました。

27%のお母さん(943人)が出産前にワクチンを接種しました。
12%のお母さん(397人)が出産後にワクチンを接種しました。

結果:お母さんがワクチン接種すると赤ちゃんも予防できる

インフルエンザワクチンを接種しなかったお母さんから生まれた赤ちゃん2101人のうち、56人がインフルエンザになりました。(およそ2.7%)

妊娠中にインフルエンザワクチンを接種したお母さんから生まれた赤ちゃん943人のうち、10人がインフルエンザになりました。(およそ1.1%)

出産後にインフルエンザワクチンを接種したお母さんから生まれた赤ちゃん397人のうち、5人がインフルエンザになりました。(およそ1.3%)

妊娠中にワクチン接種した場合の赤ちゃんのインフルエンザ発症率1.1%は、お母さんにワクチン接種をしなかった場合の2.7%に比べ、有意に少ないことが示されました(p<0.01)。

そのほか論文で興味深かったこと

  • お母さんがインフルエンザになってしまうと、赤ちゃんがインフルエンザになる確率は36倍になる。
  • きょうだいの存在、託児所の利用で、赤ちゃんがインフルエンザになる確率は2-3倍になる。

結論:お母さんもぜひインフルエンザワクチンを受けて欲しい

NNT(何人のお母さんにワクチンを接種すれば、赤ちゃん1人を守れるか)という議論をすると、NNTは約60で、ちょっと大きすぎるかなという印象を持ちます。
しかし、赤ちゃんだけではなく、お母さんも守られますし、他の家族への伝播にも影響しますから、単純なNNT以上の経済効果はあると考えます。

10月、11月、12月に出産を控えているお母さんは、インフルエンザワクチンを接種することで赤ちゃんを守れます。

有意差はついていませんが、出産後のワクチン接種でも赤ちゃんを守れると考えられます。

特に他にきょうだいがいたり、保育園に預ける予定があったりする場合、お母さんがワクチン接種をする意義は高まります。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。