第54回日本アレルギー学会専門医認定教育セミナーの感想

2018年10月28日、第54回日本アレルギー学会専門医認定教育セミナーに行ってきました。
今回は、普通に日記です。

日本アレルギー学会専門医認定教育セミナーとは

私の病院にはアレルギー専門医が一人もいません。
アレルギー専門医がいない病院に勤務しながら、アレルギー専門医を目指す場合、日本アレルギー学会専門医認定教育セミナーを3回受講しなければなりません。

私は今回で3回目です。
ようやくノルマ達成です。

新幹線の予約はスマートEXが便利

東京出張をするとき、私は今までいつも一泊していました。
新幹線と宿を同時に予約するので、じゃらんをよく使ってました。

ですが、今回は一泊する余裕がなかったので、日帰り出張を試してみました。
このとき、新幹線の予約に使ったのがスマートEXです。

スマートEXは登録無料のサービスです。
ネットで簡単に予約できます。
そして、ICOCAやSUICAなどのICカードでそのまま入場できるようになります。

チケットなしで新幹線に乗れるなんて、ハイテクです!(死語)

座席番号の心配は無用です。
ICOCAで入場すれば、改札機から座席表が出てきます。

ちなみに、新大阪-東京ののぞみ指定席は、通常14450円です。
グリーン車だと19230円です。

スマートEXだと、グリーン車で14400円です。
すごくお得です。

というわけで、人生で初めてのグリーン車体験をしてみました。

足元に謎のステップが!

「使い方が分からない」とTwitterで呟いたところ、親切な人にすぐにアドバイスもらえました。
アプリ一つで見知らぬ人に助けてもらえるなんて、ハイテクです!(2回目)

セミナーの内容

45分間の講義が7コマありました。
どの講義も、密度が濃くて、理解が追いつきませんでした。
私の理解をまとめます。(理解不足で間違っているところもあります)

基礎

非アトピー型喘息に代表される、IgEが介在しない免疫応答について、新しい理解を提示。

従来の古典的理解:抗原が侵入し、樹状細胞がキャッチ。Th2細胞からIL-4が放出され、その影響でB細胞はIgEを放出する。IgEは肥満細胞に結合し、そこに抗原がやってきて架橋すると、ヒスタミンが放出される。また、Th2細胞はIL-5とIL-13も放出する。これらは好酸球を呼びよせ、ヒスタミン反応から遅れること数時間で好酸球性炎症を引き起こす。

新しい理解:上皮に刺激が加わると、その時点でIL-33、IL-25、TSLPが放出される。これらは2型自然リンパ球(ILC2)に作用し、IL-5とIL-13を放出する。これらは好酸球を呼びよせ、ヒスタミン反応から遅れること数時間で好酸球性炎症を引き起こす。

従来の古典的理解と新しい理解は共存しうる。

古典的理解のみでは非アトピー型喘息が理解不能であった。
新しい理解は非アトピー型喘息(および、一部のアトピー性皮膚炎)の理解を可能にする。

気管支喘息

乳幼児喘息は5歳未満で3回以上呼気性喘鳴があり、β2刺激薬に反応があるなら、乳幼児喘息と診断する。
β2刺激薬の反応が乏しい場合は、まずは1か月間の「診断的治療」を行う。
診断的治療中では喘息のコントロールができ、投薬を中止している間に症状が再燃した場合乳幼児喘息とする。
診断的治療中も、中止中も、症状が変わらない場合は、喘息は否定される。

5歳未満の乳幼児喘息は、アトピー型喘息と非アトピー型喘息が混在する。
非アトピー型喘息ではRSウイルスやライノウイルス感染により気道上皮が障害を受け、「基礎」で述べた新しい理解の機序が始まっている。
パリビズマブで非アトピー型の喘鳴が減ったという論文あり。

5歳以上の気管支喘息の診断には、診断基準が存在しない。
あくまで診断の目安のみである。
呼吸機能検査が重要ではあるが、成人喘息の67%は呼吸機能検査が正常であり、感度が低い。

呼吸機能陰性であった場合は、本来は気道過敏性試験をすべきである。
だが、この試験は侵襲を伴い、ほとんどの施設で行うことができない。

したがって、呼吸機能陰性であった場合は、喀痰好酸球検査をすべきである。
好酸球陽性は診断を強くする。
しかし、喀痰検査は検体をとるのがとても難しい。

血中好酸球数220以上で、感度70%、特異度70%程度で気管支喘息を診断の目安とはなる。

喀痰検査ができなかった場合、または喀痰好酸球陰性だった場合は、採血検査で吸入抗原RASTをみる。
ただし、これも診断の目安にしかならない。

結局のところ、ほとんどの施設では呼気中NOで判断されるべきである。
呼気中NOは240点の検査である。
1分で終わる。
呼気中NOハンドブック2018が出版されている。
CHEST40以上、MINO30以上であれば、感度80、特異度90%で気管支喘息を診断できる。

アレルギー性鼻炎

第1世代抗ヒスタミン薬を処方する医師がまだ1/3ほどいる。
理由の多くが「夜間、よく眠れるようにするため」だ。
しかし、第1世代薬はレム睡眠の遅延を招き、睡眠の質を低下させているという論文あり。
Risk of first-generation H(1)-antihistamines: a GA(2)LEN position paper.(Allergy. 2010; 65: p459-66.)

免疫療法はアレルギー性鼻炎の軽症から重症まで、あらゆる重症度に適応がある。
唯一の根治治療である。

診断には鼻汁好酸球検査と、採血によるアレルゲンの同定が必須である。
(私には誘発試験ができないため)

アレルギー性鼻炎患者の仕事の能率が下がることによる損失額は、1患者1年あたり6万円。
有病率が40%であることを考えると、日本経済はアレルギー性鼻炎で大きな損失を被っている。

感想

インターネットセミナーにしてもらえると、往復7時間が無駄にならず、その時間で別の仕事ができるのにと思っていました。
ですが、インターネットセミナーだと、本当にしっかり受講しているか分からないので、専門医の質が担保できなくなりますよね。
全国の医師がわざわざ一堂に集まるというのはなんとも非効率と思いましたが、仕方がないとも感じました。

グリーン車は快適でした。
コンセントプラグがあるおかげで、ノートPCで原稿を書く作業が捗りました。
少なくても、新幹線に乗っている往復5時間は有意義に使えます。

スマートEXでグリーン車が安く乗れるなら、東京日帰りも悪くないと思えました。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。