インフルエンザの予防接種は受けたほうがいいですか?

予防接種は定期接種と任意接種があります。
定期接種は無料で、任意接種は有料と覚えれば間違いありません。

インフルエンザは任意接種

インフルエンザは任意接種なので、有料です。
費用は地域や自治体によって様々ですが、1回3000円くらいかかります。

お金を出して予防接種するのも自由ですし、予防接種しないのも自由です。
接種するかどうかをお父さん・お母さんが決められる。
これが任意接種です。

受けたほうがいいの?

外来で患者さんによくされる質問の一つがこれです。

「先生、インフルエンザの予防接種って受けたほうがいいんですか?」

この質問にはいろいろな疑問が含まれていいると思います。

  • 接種スケジュールが分からない。
  • 予防接種にどれくらい効果があるか分からない。
  • 予防接種の副反応が分からない。
  • インフルエンザがどれくらい怖い病気なのか分からない。

一つずつ、この疑問に答えていきましょう。

接種スケジュールは?

生後6か月以上~13歳未満は2回、13歳以上は1回です。

13歳以上に関して、2009年の検討で1回接種と2回接種で抗体価の上昇に差がなかったことが報告され、1回接種でよいことになっています。

13歳未満については1回の接種では十分な免疫が得られないため、2回接種となっています。
接種間隔は2~4週間です。
1984年の医事新報によると、接種間隔は3-4週のほうが効果が高い可能性を報告されています。

いつまでに接種すればいいの?

季節性のインフルエンザは通常12月末から翌年3月まで流行しますので、遅くても12月の中旬までに接種が終了すべきです。
2回接種であるならば、10月と11月に1回ずつ、または11月の初めと終わりに1回ずつ接種するのが理想です。

ただ、インフルエンザの予防接種はなかなか予約が取れず、2回目の接種が1月になってしまうこともあります。
すべての子どもが一斉に10月11月12月に接種しようとするわけですから、やむをえないという現状です。
もっと効率の良いインフルエンザ予防接種の体制作りが求められています。

毎年予防接種したほうがいいの?

インフルエンザは毎年変異しながら流行しており、ワクチンも毎年そのシーズンの流行を予測して製造されています。

また、ワクチンの予防効果は接種後2週間から5か月程度と言われています。

ですから、毎年予防接種を受けることが大切です。

何歳から受けたらいいの?

生後6か月から接種できるインフルエンザワクチンですが、乳児や1歳児も接種したほうがいいのでしょうか?

「乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」で、インフルエンザの発病阻止率は2歳以上では有効率33%だったのに対し、1歳未満では有効性が確認できなかったと報告されています。
ただし、この報告は2001年のものであり、ずいぶん古いデータです。

また2012年のコクランレビューでも次のように書かれています。

Influenza vaccines are efficacious in preventing cases of influenza in children older than two years of age, but little evidence is available for children younger than two years of age.

Vaccines for preventing influenza in healthy children
Cochrane Database Syst Rev. 2012

インフルエンザワクチンは2歳以上の子どもには有用でしたが、2歳未満では有用とする根拠に乏しかったとコクランレビューでは書かれています。

ちなみに、これは現時点では2歳未満での有用性を確認できる論文がなかっただけであり、2歳未満でのインフルエンザワクチンの無効性が確認されたわけではありません。
今後、2歳未満への新しい知見が出てくるのは間違いありません。
特にアメリカは生後6か月からのインフルエンザワクチンを積極的に推奨しており、アメリカから新しい知見が出てくると期待しています。

日本においても、2011年からインフルエンザワクチンの接種量は変更され、1歳未満に対しては今まで0.1mlであったのを、世界的な基準である0.25mlに増量されました。
また、3歳から12歳の子どもに対しても0.5mlに増量されました。
これにより1歳未満の乳児も含めた、インフルエンザワクチンの有効率の増加が期待されています。

私は2歳以上の子どもがインフルエンザワクチンを接種することに、肯定的な立場でいます。
2歳以上であれば、インフルエンザワクチンが有用であることが示されています。
そのため、私は2歳以上の子どもには積極的にインフルエンザワクチンを推奨しています。

いっぽうで、2歳未満に対してはインフルエンザの予防接種をどうするかは難しい問題です。
2歳未満は定期接種のワクチンも多いですし、効果も前述の通り2012年のコクランレビューでは明らかにされていないのが現状です。
2歳未満のお子さんがいる家庭には、「お父さん・お母さんや、お兄ちゃん・お姉ちゃんはしっかり予防接種して、小さな子どもさんにうつさないようにしてあげましょうね」と指導することも多いです。

予防接種にどれくらい効果があるの?

2歳以上の子どもに関しては有効率33%であったとされています。
発症しても重症化を抑えることができます。
死亡率も減少させます。
周りにうつす確率も下げますので、周囲にもよい効果があります。

みんなが予防接種することで、有効率はもっと上昇するかもしれません。

予防接種の副反応は?

インフルエンザワクチンは不活化されていて、病原性を失っていますので、インフルエンザの予防接種が原因でインフルエンザになることはありません。

接種した場所が赤く腫れて、かゆくなることがあります。
また熱が出たり、筋肉や関節が痛くなったりすることがあります。
通常2~3日で治ります。

稀ですが、急性散在性脳脊髄炎やギラン・バレー症候群、Stevens-johnson症候群の報告もありますが、インフルエンザを発症してけいれんや脳炎を起こすリスクと比べれば、副反応のリスクのほうが小さいです。

卵アレルギーの子に接種していいの?

インフルエンザワクチンは鶏卵の尿膜腔で増殖したインフルエンザウイルスを原材料として製造されています。
高度に精製されていますが、微量の鶏卵成分が残存する可能性があります。

ですが、アレルギー外来を専門的に行っている実体験からは、卵アレルギーの子どもにインフルエンザの予防接種をしても、特にアレルギー反応は起きていません。
もしアレルギー反応が出た場合は、卵によるものなのか、卵ではない成分によるものなかのか見極めなければいけません。
(見極めようと思うと、添加物それぞれでプリックテストしないといけないので、大変ではあります)

ただし、接種時に注意は必要です。
小児科医はアレルギーを抑える薬を準備してから予防接種をしますので、安心してください。

インフルエンザはどれくらい怖いの?

インフルエンザで熱性けいれんを起こして、救急車で救急外来にやってくる子どもは毎年とても多いです。

また、けいれん後になかなか意識が戻らず、脳炎や脳症と診断されるケースも少なくありません。

高齢者に見られるようなインフルエンザに伴った肺炎は、子どもではあまり起きません。
ですが、インフルエンザはやはり怖い病気です。

まとめ

  • インフルエンザは2歳以上の子どもに推奨される。
  • 2歳未満のお子さんがいる場合は、他の家族の予防接種をする。
  • 有効率は33%だが、集団接種すれば集団予防効果が期待できる。
  • 12月の中旬までに接種を終えるのが理想であるが、やむをえず1月の接種になることもあるのが現状である。
  • 卵アレルギーのお子さんも接種できる。
  • 脳炎・脳症を予防できる。

日本ワクチン産業協会が「予防接種に関するQ&A」という便利で分かりやすい本を出版してくださっているので、それを参考に記事を書きました。