子どもを病院に連れていくタイミングに悩んだことはありませんか?
平日の日中に、かかりつけ医を受診する場合は、悩まなくていいと私は思っています。
ささいな症状、悩み事であっても、かかりつけ医に相談すればいいと思うのです。
かかりつけ医とは、普段から何でも相談できる関係性が望ましいでしょう。
しかし、夜間や休日の救急病院だったらどうでしょう。
夜間や休日であっても受診した方がいいのか、それとも平日の朝を待ってかかりつけ医を受診した方がいいのか、悩むと思います。
今回は、「適切な受診タイミング」について思うことを書きます。
コンビニ受診 vs もっと早く連れてきて
少しイメージしてみてください。
あなたは、夜間に子どもを救急病院に連れていきます。
「症状は軽いですね。朝まで様子をみて、かかりつけ医を受診してください」
救急病院の医師にそう言われました。
あなたはおそらく安心するでしょう。
それと同時に、「朝まで様子を見ればよかったんだ」と思うかもしれません。
別の機会に、また子どもに同様の症状が出て、今度は「朝まで待てるかな」と思って様子を見ました。
しかし、やっぱり子どもが苦しそうなので夜間救急病院に連れて行った、という状況を想像してみてください。
「こんなに酷くなるまで様子を見るなんて。もっと早く連れてきてください」
前回とはうってかわって、救急病院の医師にそう言われるかもしれません。
(子どもの状態は急に変わるので、私はこのような言い方はしませんが)
子どもをいつ病院に連れていけばいいのか、この問題は結構難しいものです。
受診が遅すぎるくらいなら、速すぎる方がましだという考え方もできます。
しかし、不要な救急病院受診は、その地域の医療資源に負荷をかけてしまいます。
いわゆる「コンビニ受診問題」です。
でも、朝まで様子をみて、状態がもっと悪くなってしまったら?
そもそも朝まで待てるの?
「コンビニ受診問題」と「もっと早く連れてきて問題」とが、葛藤し合うことがあります。
この2つは相容れない要素です。
受診タイミングが明確なケースは稀
「コンビニ受診問題」と「もっと早く連れてきて問題」が衝突しないケースがあります。
この症状が出たら、絶対に受診というのがあります。
それが、けいれん。
これは明確に受診が必要です。
むしろ、救急車を呼ぶべきかの判断が必要ですが、これは今回のテーマではないので割愛します。
しかし、ほとんどの症状が「今すぐ受診しなければならない」とはなりません。
発熱、咳、鼻水、嘔吐、下痢、発疹など、症状の程度や期間によってアドバイスが変わります。
アナフィラキシーは受診が必要ですし、エピペンを使った場合は救急車要請が鉄則ですが、「軽いじんましんで本人も困っていない程度」であれば、受診は必須ではありません。
腹痛も基本的には受診が必要と私は考えていますが、それでも「本人が困ってなさそうな程度の軽い腹痛」であれば少し様子をみるのもいいと思います。
受診タイミングが明確なケースは稀です。
ほとんどの症状が、「今すぐ受診しなければならない」ときもありますし、「朝まで様子を見てもいい」ときもあります。
「適切な受診タイミング」の目安
では、どうすれば「適切な受診タイミング」を計ることができるでしょうか。
私は佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトの「子どもの病気・おうちケア」が秀逸だと感じています。
何が良いかというと、主要な症状に対して「すぐに受診」と「診療時間内に受診」とが明確に書かれていて分かりやすいんです。
また、手前みそではありますが、私が監修させて頂いた「赤ちゃんと子どもの病気・ホームケア事典」も紹介します。
これは「緊急受診」と「かかりつけ医を受診」と「様子を見てOK」の3段階に分けて書きました。
基本的なスタントとして、「子どもが困っているなら、夜間でもすぐに受診」としています。
痒い、痛いなどは子どもが困っているケースが多く、私は夜間に受診してもいいと思っています。
逆に、子どもが困っていない様子なら、慌てなくて大丈夫です。
- 咳が出ていても、眠れているし、子どもは困っていない。
- 発疹は出ているけれど、子どもは困っていない。
- 嘔吐はしたけれど、今は表情がよく、子どもは困っていない。
なかなかクリアカットで分けられる問題ではありません。
どうしても境界はあいまいになってしまいます。
ですが、「子どもが困っているなら、夜間でもすぐに受診」という基本を持っていると、判断の悩みが楽になるかもしれません。
まとめ
- けいれん以外の症状は、受診タイミングが難しい。
- 子どもが困っているなら、夜間でもすぐに受診が基本。
- 子どもが困っていないなら、受診は慌てない。
- かかりつけ医を受診する場合は、些細なことでも相談してよいと思う。
結局のところ、このテーマは難しいです。
こうすれば万事解決みたいな、明確な指標もガイドラインも作れません。
「コンビニ受診を減らそう」という地域の運動(柏原病院を守る会)によって存続した病院で働いているからこそ、適切な受診タイミングの難しさを感じます。