牛乳アレルギー予防のための「生後1カ月から粉ミルク」に思うこと。

卵を生後6カ月から少量与えることで、卵アレルギーを予防できる可能性が高まるという研究があります。
これはPETIT study(プチスタディと発音)と呼ばれ、2017年12月に成育医療センターから発表されました。

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2017年6月17日

牛乳でも、同様のことができないか、研究されています。
中でも、2021年に発表された「生後1カ月から2カ月間、1日10mLの粉ミルクを与えることで、牛乳アレルギーをほぼ完全に予防できる」という研究は、私の中で強いインパクトがありました。
いわゆるSPADE study(スペードスタディと発音)です。

今回は、生後1カ月から粉ミルクを10mL与える戦略について、思うことを書きます。

SPADE studyが役立つのは、いつ?

「生後1カ月から2カ月間、1日10mLの粉ミルクを与えることで、牛乳アレルギーをほぼ完全に予防できる」というSPADE study。

強いインパクトを持つ研究ですが、これはどういうタイミングで恩恵を与えるのでしょうか。

私は、SPADE studyが現場で役立つ状況というのは、主に「1カ月健診」のときだと思っています。

もともと1カ月健診では、母乳のみか、混合栄養か、粉ミルクのみかを必ず確認します。
なぜ確認するかというと、体重の増え方を見たうえで、今の哺乳量が適切であるかを判断し、場合によっては粉ミルクの量についてアドバイスするためです。

SPADE studyは、この1カ月健診のアドバイスで主に役立つと考えます。
1カ月健診以降の粉ミルクのアドバイスについて、体重増加以外のメリットを伝えることができるからです。

SPADE studyが役立つのは、誰に対して?

では、SPADE studyはどういう人に対して役立つのでしょうか。

たとえば、1カ月健診のときに「混合栄養ですが、母乳もよく出るようになったので、そろそろ粉ミルクをやめようと思っています」と言われたとしましょう。
確かに体重増加も良好で、粉ミルクをやめられるのかもしれません。
ですが、このケースでは、「ほとんど母乳でもいいので、10mLだけでも2か月間は粉ミルクを続ける」ことを提案するのも、ありだと思います。
この提案は、あくまで提案です。
一般的に牛乳アレルギーは5%で発症しますが、あと2カ月10mLだけでも粉ミルクを継続すれば、この確率をほとんど0にすることができます。

または、1カ月健診のときに「母乳栄養ですが、あまり出てないような気がします。粉ミルクを足したほうがいいのかなと思うのですが、母乳のほうがやっぱりいいんですよね?」と相談されたとしましょう。
確かに体重は1日10gほどしか増えておらず、哺乳量が少し心配な状況です。
この場合、粉ミルクのメリットの1つとして、今回のSPADE studyをお話することもありだと思います。

もしくは、1カ月健診のときに「母乳が出ないので粉ミルクを与えています。粉ミルクはやっぱり赤ちゃんによくないんでしょうか」と不安を伝えられたとしましょう。
この場合も、SPADE studyは粉ミルクの利点を通して、お母さんの不安を軽くしてくれるかもしれません

では、1カ月健診のときに「母乳のみです。よく飲んでくれています」と言われた場合を想定しましょう。
この場合、粉ミルクを少量足すべきでしょうか。

大前提として、母乳育児にはメリットがあります。

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2017年1月24日

そのため、粉ミルクの導入は慎重にならなければなりません。
1カ月健診で「母乳のみです」と答えられた家庭に対して、少量粉ミルクを一律に提案することはできないと私は考えています。
ただ、きょうだいや家族に重症な食物アレルギーの人がいるなど、牛乳アレルギーに対して強い恐怖感を持っている場合などは、SPADE studyをお話してもいいかもしれません。

以上から、SPADE studyは1カ月健診のときに役立ちます。

そして、SPADE studyは以下の人に対して役立ちます。

  1. 1カ月健診を機に、混合栄養から母乳のみに変更しようと考えている人
  2. 体重増加不良があるが、粉ミルクの追加に不安がある人
  3. 母乳が与えられないことで不安を感じている人
  4. 家族に重症食物アレルギーがあり、少しでもリスクを回避したい人

以上はあくまで私見ですが、SPADE studyが出てから、私の1カ月健診はほんの少しだけ変わりました。
1や4のような食物アレルギーを減らしたいという目的でのアドバイスというよりも、2と3のような不安解消の手段として使うことのほうが多いです。

参考:牛乳アレルギー予防のための乳児用粉ミルク早期導入の無作為化試験

最後に、SPADE studyを和訳を書いておきます。
Randomized trial of early infant formula introduction to prevent cow’s milk allergy. J Allergy Clin Immunol. 2021; 147: 224-232.e8.

イントロダクション

牛乳アレルギーは幼児期に比較的よく見られ、推定有病率は0.5%~4.9%です。5歳までに約50%の子どもの牛乳アレルギーが治ります。日本では、新生児とその母親は通常出生後1週間産科病院に入院し、その間に必要に応じて一定割合で粉ミルクを与えられます。一般的に母乳育児が推奨されているため、退院後に粉ミルクの摂取が中止されることも少なくありません。これらの乳児の中には、牛乳タンパク質を含むベビーフードの導入や粉ミルクの再導入により、牛乳アレルギーを発症するリスクが上昇する場合があります。最近のシステマティックレビューおよびランダム化比較試験(RCT)のメタアナリシスでは、アレルゲン食品の早期導入は、アレルギーの発症を予防できると報告されています。同様に、観察研究では、早期粉ミルク導入は牛乳アレルギー発症の低リスクと関連していることが明らかにされています。しかし、早期粉ミルク導入による牛乳アレルギー発症予防の有効性を示したRCTはありません。

これまでのRCTは一般に、食事療法の遵守度が低い、介入が遅い、粉ミルク摂取の継続に関する情報がないなどの要因により制限がありました。したがって、早期粉ミルク導入による牛乳アレルギー予防効果の証拠は十分ではありません。

そこで、粉ミルク早期導入の予防効果に関するより高いエビデンスを提供するために、粉ミルク導入時期、アドヒアランス、摂取期間、摂取量を考慮したRCTを企画・実施しました。ここでは、日本の一般集団から募集した乳児を対象とした無作為化比較介入試験であるStrategy for Prevention of Milk Allergy by Daily Ingestion of Infant Formula in Early Infancy(乳幼児期に粉ミルクを連日摂取させることで牛乳アレルギーを予防する戦略:SPADE)試験の結果を報告します。この試験は、粉ミルクの早期導入が、一般集団における牛乳感作およびアレルギーの一次予防に有効な戦略として機能するかどうかを明らかにするために計画されました。

方法

研究デザインと参加者

SPADE試験は、多施設共同非盲検RCTです(図1)。本試験では、沖縄の4病院(ハートライフ病院、沖縄協同病院、那覇市立病院、琉球大学医学部附属病院)から生後5日以内の新生児を募集しました。

参加者は、生後1ヶ月になるまでの期間、母乳栄養が足りない場合は必要な粉ミルクを摂取しました。有害事象と1日の粉ミルク摂取量は保護者が日記に記録し、医師は生後6ヶ月までの毎月の診察時に日記を確認しました。

スクリーニングOFC

生後1ヶ月時点で、全参加者を対象にスクリーニング用OFC(食物経口負荷試験)を実施し、粉ミルク20mLを単回摂取させました。負荷試験が陰性だった参加者は、粉ミルク摂取群と回避群に無作為に振り分けられました。

介入

摂取群では、生後1ヶ月から2ヶ月の間、毎日10mL以上の粉ミルクを摂取するように指導されました。生後3ヶ月までの介入期間中、1ヶ月あたり最低20日、中断期間は最大で連続1週間までと規定されました。粉ミルクの摂取量に上限はなく、参加者の親が必要に応じて粉ミルクを与えました。粉ミルクの種類は特に指定されませんでしたたが、加水分解乳やアミノ酸乳を主成分とするものは使用しないように指導されました。回避群では,生後1〜2ヶ月の間,粉ミルクをできるだけ摂取しない(1ヶ月に10日未満)こととしました。参加者の両親は、介入期間中、必要に応じて母乳育児に大豆粉ミルクを補充するよう助言されました。両群とも研究期間中は母乳保育を継続することが推奨されました。

牛乳感作と牛乳アレルギーを評価するために、生後6か月時点の皮膚プリックテスト(SPT)と、生後3ヶ月のOFC(第一OFC)、生後6ヶ月のOFC(第二OFC)を行いました。第一OFCが陽性であった乳児を除き、参加者は生後3ヶ月に達した後、母乳を補うために必要に応じて粉ミルクを摂取しました。2回目のOFCは、1回目のOFCが陽性であった乳児を含むすべての参加者に実施されました。離乳食は基本的に制限されませんでしたが、2回目のOFCが実施されるまでは粉ミルク以外の乳製品の摂取は禁止されました。

サンプルサイズ

過去の報告に基づいて、一般集団におけるIgE依存性牛乳アレルギーの有病率は5%未満であると予測しました。生後6ヶ月における牛乳アレルギーの75%減少(回避群4.9% vs 摂食群1.2%)を検出するには、各群で344人の乳児が必要と推定しました(αエラーを0.05、βエラーを0.20とした場合)。追跡期間中(2回目のOFCまで)の脱落率10%を考慮し、当初は合計764名の乳児をリクルートすることを目標としました。

結果

研究対象者

研究対象者の概要を図2に示します。SPADE試験の登録は、2017年1月1日から2019年8月31日まで行われました。2019年9月1日、資金の制約のため、目標サンプルサイズに達する前に登録を中止しました。データ収集は2020年3月30日に完了しました。生後5日以内に登録された518人の乳児のうち、12人は親が割り当て前に参加を辞退したため参加せず、2人はスクリーニング用OFCにアレルギー反応を起こしたため除外されました。除外された乳児のうち1人は、粉ミルクの食物タンパク質誘発性腸炎症候群(FPIES)と診断されました。残りの504人の参加候補者は2群に無作為に割り付けられましたが、そのうち12人(2.4%)の親が乳児に介入を受けさせることを拒否しました。研究対象者は492名(摂取群243名、回避群249名)となりました。これらの参加者のうち、462名(93.9%)が生後6ヶ月に予定されていたSPTと2回目のOFCを受けました。両群合わせて30名の参加者が自発的に脱落しました。このうち29名は、生後6カ月に粉ミルクを100mL以上摂取でき、アレルギー反応がなかったことが両親への電話連絡で確認されました。これらの参加者は、主要なintention-to-treat分析に含まれましたが、per-protocol分析からは除外されました。レジメンを遵守しなかったため、摂取群23名(10.1%)および回避群40名(17.0%)がper-protocol分析から除外されました。

参加者のキャラクター

参加者のキャラクターをテーブルIおよびテーブルE1にまとめました。グループ間に有意差はありませんでした。いずれの母親も、妊娠中に食事から粉ミルクを除去していませんでした。生後3日間の粉ミルク回避と生後14日間の毎日の粉ミルク摂取開始の割合も、両群間で同様でした。

介入のアドヒアランス

摂取群では、参加者の89.9%が介入期間中に最大1週間の中断を伴いながら、1ヶ月あたり20日以上粉ミルクを摂取していました。回避群では、83.0%の参加者が介入期間中に月に20日以上粉ミルクを摂取しませんでした(図 E1)。

生後6ヶ月の臨床成績

生後6ヶ月の臨床経過を表IIにまとめました。生後3カ月から5カ月の間に毎日粉ミルクを摂取した参加者の割合は、摂取群のほうが回避群よりも有意に高かったです(54.2% vs 35.0%[P < 0.001])。両群の参加者の約70%が生後6か月になっても母乳で育てられていました。授乳期に食事から粉ミルクを除去していた母親はいませんでした。臨床医が診断した湿疹(アトピー性皮膚炎とみなされない軽度の湿疹を含む)および卵白、小麦、大豆に対する感作の割合に、グループ間の有意差はありませんでした。

主要評価項目

主要アウトカムを図3に示します。主要なintention-to-treat解析では、摂取群242人中2人(0.8%)、回避群249人中17人(6.8%)が生後6か月時にOFCで確認された牛乳アレルギーを有していました(RR =0.12; 95%CI=0.01-0.50; P < 0.001)。リスク差は6.0%でした(95%CI=2.7~9.3)。

per protocol解析では、摂取群204人のうちOFCで確認された牛乳アレルギーを持つ者はいませんでしたが,回避群195人のうち17人(8.7%)には牛乳アレルギーがありました(P<0.001).2回目のOFCの結果が陽性であった参加者の臨床的詳細をテーブルE2に示します。

副次的評価項目

摂取群227人のうち、11人(4.8%)が生後6カ月で牛乳に対するSPT反応が陽性であり、回避群235人のうち38人(16.2%)がSPT陽性でした(RR=0.26;95% CI=0.12-0.55;P < 0.001)。

カゼイン特異的IgG4の力価の中央値は、摂取群で2.61 mgA/L(0.45〜10.46 mgA/L)、回避群で0.12 mgA/L(0.08〜0.33 mgA/L)(P=.02)でした(図5)。

ディスカッション

このRCTは、一般集団から採用した乳児において、生後1~2ヶ月の間に少量の粉ミルクを毎日摂取することで、OFCで確認された牛乳アレルギーの発症を予防することを実証しました。この戦略は母乳育児の継続を妨げないため、これらの知見は臨床的に重要です。

粉ミルクの導入時期、介入の順守、摂取期間、摂取量

粉ミルクの早期導入が牛乳アレルギーのリスク低下と関連することを示した観察研究はいくつかありますが、2つのRCTのメタ解析では有意な予防効果は認められませんでした(RR=0.76;95%CI=0.32-1.78)。しかし、これらのRCTの結果は、いくつかの注意点を念頭に置いて解釈する必要があります。1つ目のRCTでは、アトピーリスクの高い乳児を募集し、生後2年以内の牛乳アレルギー有病率は、大豆粉ミルク(回避)群で4.2%、従来の粉ミルク群で3.1%と報告されました(オッズ比=1.36、95%CI=0.46-4.00)。しかし、割り当てられたレジメンの遵守率は生後6ヶ月の時点で63%しかなく、このことが有意でない結果の一因になっている可能性があります。もう一つのRCTは、Enquiring About Tolerance(EAT)試験に基づいており、一般集団から乳児を募集しました。牛乳アレルギーの有病率は、標準導入群0.67%、早期導入群0.53%でした(RR=0.79、95%CI=0.18-3.50)。しかし、EAT試験では、粉ミルク回避を1日の粉ミルク摂取量が300mL未満と定義していたため、両群で粉ミルクの早期導入が行われた可能性がありました。また、早期導入群の乳児が粉ミルクの摂取を開始したのは生後3カ月以降であり、牛乳アレルギーの発症を効果的に予防するには遅すぎる可能性があります。

介入期間中に有害事象がなかったことから,1日10mLの粉ミルクの摂取は安全であることが示されました。また、本戦略における粉ミルクの最低摂取量が比較的少ないことは、実用的であり、アドヒアランスを促進した可能性があります。

IgE依存性牛乳アレルギーは生後1ヶ月以前に発症する可能性があるため、新生児期からの早期介入が有効であると思われます。浦島らは、アトピーリスクの高い新生児を募集し、生後2年までの牛乳アレルギーの有病率は、少なくとも生後3日間母乳で育てられた乳児では0.7%であるのに対し、生後1日から粉ミルクを摂取した乳児では6.6%と報告しました(RR=0.10; 95% CI=0.01-0.77 )。本研究では、新生児期における母乳保育や粉ミルクの摂取パターンに摂取群と回避群で差はなく(テーブルI、図E1参照)、生後3日間粉ミルクを回避した31名には牛乳アレルギーの発症者はいませんでした(図E2参照)。ある前向き研究では,産科入院中に粉ミルクに曝露すると牛乳アレルギーのリスクが高まりますが、その後、あるいは継続して曝露すると耐性が促進される可能性があることが明らかにされました。

粉ミルクの摂取量と牛乳アレルギー発症の関係を用量反応分析で調べたところ、生後1〜2ヶ月の間に粉ミルクを週に70mL以上摂取した被験者には牛乳アレルギーが発症しませんでした(図E3 を参照)。これらの結果は、1日最低10mLの粉ミルクを含む我々の介入プロトコルを支持するものです。

介入期間と母乳育児

乳児の母乳育児を無作為化することは倫理的に問題があるため、両群に母乳育児を推奨しました。さらに、新生児期に粉ミルクの補給を制限することは、黄疸、低血糖、体重増加不良など様々なリスクと関連する可能性があります。そこで、介入開始時期を生後1ヶ月としました。牛乳アレルギー発症予防には生後3ヶ月の授乳パターンが重要であるため、介入期間は生後3ヶ月までに設定しました。EAT試験では、早期導入群(粉ミルク摂取開始:生後3ヶ月)と標準導入群(粉ミルク摂取開始:生後6ヶ月)で母乳育児の継続率に差は認められませんでした。また、生後6ヶ月までの母乳育児の割合も、対象者にグループ間の差はありませんでした。沖縄県では、一般集団の生後6ヶ月時点での母乳育児継続率は約70%(完全母乳と混合栄養の割合はほぼ同じ)であることから、本研究では摂取群でも一般集団よりも母乳育児の継続率が高かったと考えられます。

研究の強み

SPADE試験の最大の長所は、一般人口を対象にデザインされており、その知見は高い一般化の可能性を有していることです。また、参加者は高いアドヒアランスで安全にレジメンを実行し、介入は母乳育児を妨げませんでした。乳児用粉ミルクの早期導入を含むRCTは、完全母乳の維持を希望する母親の割合が高いため、しばしば障害となります。また、対照群に粉ミルクの摂取を禁止することは倫理的に許されませんし、味や栄養価が劣るアミノ酸系粉ミルクは親に受け入れられにくいでしょう。そこで、新生児期には粉ミルクを無制限に摂取できるようにしました。また、粉ミルク回避を促進するため、回避群には生後1~2カ月に大豆粉ミルクを無償で提供しました。また、粉ミルク摂取を嫌がる乳児も含め、離脱者を除く全例でOFCによる牛乳アレルギー判定を行いました。これにより、生後6ヶ月の牛乳アレルギー発生率を正確に把握することができました。しかし、牛乳アレルギーは回避群の6.8%に発現し、既報の発現率よりも大幅に高いものでした。回避群における牛乳アレルギーの高い発生率は、粉ミルクの摂取が制限されたことに起因すると考えられますが、この知見を理解するためにはさらなる解析が必要です。

研究の限界と今後の課題

本研究では、牛乳に感作された参加者が、摂取群の方が回避群よりもカゼイン特異的IgG4レベルが高かったことから、1ヶ月目からの粉ミルク摂取が牛乳アレルギーに対する耐性を誘導することが示唆されました。生後3日以内に粉ミルクを摂取した場合、1ヶ月目以降の粉ミルクの継続的な摂取により、牛乳アレルギーを予防できる可能性があります。

結論

生後1ヶ月から2ヶ月の間に粉ミルクを毎日摂取することで、牛乳アレルギーの発生を防ぐことができます。この戦略は母乳育児を妨げません。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。