子連れ学会参加で気づいたこと2つ。

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

紀貫之

土佐日記で始まりましたが、今回は子連れ学会参加の日記です。
場所も土佐ではなく加賀なので、加賀日記というべきでしょう。

子連れ学会参加というのは、子どもを連れて学会に行くことです。
そのままですね。

最近の学会は託児所があります。
私の同期でも、子連れ学会参加している人を見かけます。
私もしてみようと思って、してみました。

実際に子どもを連れて行ってみると、学会における勉強とエンジョイの配分や、子連れ学会参加の成功の指標を考えるきっかけになりました。

スタディセッティング

まずは状況を確認してみましょう。

参加する学会は第122回日本小児科学会学術集会です。

会場は金沢です。
私は丹波篠山に住んでいます。
日帰りは私にとっても子どもにとってもしんどいので、1泊2日で行きます。

移動はサンダーバードという手段もあるのですが、子ども3人と電車という脱出不可能空間を長時間一緒にいるのはかなり苦痛です。
そのため、車移動としました。
車なら、もし子どもが泣いても、どこかパーキングで休憩ができるので、フレキシブルな旅になります。

googleマップは3時間41分かかると言っています。
というか、道中のほとんどが福井県ですね。
途中で2回くらい休憩しますが、どちらも福井県内になりそうです。

連れていく子どもは7歳(女)、4歳(男)、1歳(男)です。
そう、我が家のきょうだいは3年差の等差数列で、大学受験と高校受験と中学受験が一斉に起きる可能性が11年後にあります(私はノストラダムスの日と呼んでいます)。

まずは何を重視するか決める

学会参加の目的はなんでしょうか。

  • 勉強する。
  • 金沢をエンジョイする。

2択にしてみましたが、どちらかを選ぶわけではありません。
これらは割合の問題です。
一人で学会参加するなら「勉強する」に多くのウェイトをかけることができるでしょう。

ですが、3人子どもを連れて行くとなると、勉強するウェイトはどうしても小さくなります。
託児所は朝から夜まで開いていますが、子どもをずっと預けておくのは心配です(特に1歳児が)。

子連れ学会初心者の私は、今回はできるだけ無理をしないように計画しました。
託児所は3時間だけ予約し、子どもを預けた3時間だけはしっかり勉強して、残りの時間は子どもと金沢をエンジョイすることにしました。

勉強1割、エンジョイ9割という配分で計画を立てます。

宿とタイムスケジュールを決める

宿の絶対条件は、和室でふとんであることです。
4歳児と1歳児はベッドだと転げ落ちます。

そして、部屋風呂か家族風呂があることも条件です。
大浴場しかない宿では、7歳娘を一人でお風呂に入らせるわけにも行かず、男風呂に連れてくるわけにも行かず、困ります。

きくのや旅館様が上記の条件を満たし、お値段もとてもリーズナブルだったので、そこにしました。
(すごく快適な旅館でした)

宿が決まれば、タイムスケジュールを立てましょう。
過去の経験からお昼は11時が最適であると判明しています。
子どもは待つのが苦手で、ランチタイムのピーク時にレストランに入ると大変なことになります。

11時に金沢の回転寿司を食べると決めると、移動に休憩込みで4時間半かかると考えれば、6時半に出発です。

食事が12時に終わるとすれば、13時から16時に託児所を予約して、その間に勉強します。
そして16時以降は宿にチェックインして、晩ごはんを食べて、お風呂に入って、寝て、次の日は兼六園に行って金沢駅でお土産買って帰ります。

ほとんど勉強してない!とツッコミ入るかもしれませんが、いいんです。
前述の通り、勉強1割、エンジョイ9割という配分で計画を立てたのですから。

いざ計画実行

6時半出発ですから、6時には起きないといけません。
前の日は早く寝ました。

当日朝は、マクドナルドでハッピーセットを買いました。
子どもたちはハッピーセットのプチパンケーキを車内で食べていました。

移動中の車内ではビデオが見られるので、前もってTSUTAYAでDVDをいくつか借りました。
子どもたちはポケモンのアニメばかり借りてきました。
金沢への道中、ピカチュウが何度も10万ボルトしてました。

南条SA(下り)は公園に降りることができ、子どもたちとおにごっこをして休憩しました。

11時に予定通りお寿司屋さん(すし食いねぇ!)に到着。
それほど待つことなく座れました。
しばらくすると長い行列が入口に出来上がっていたので、早く着いてよかったと思いました。

長男は、新幹線で運ばれる寿司に夢中になっていました。

食後は学会会場へ。
託児所は職員さんはみな優しそうで、数もいましたが、スペースが少し狭いかなと思いました。
仮設営の託児所だから仕方がないのでしょうが、ここで3時間は退屈しないか心配でした。

子どもはあっさりと私のもとを離れてくれたので、3時間お別れ。
正直、この3時間がすごく軽かったです(物理的にも精神的にも)。

たった3時間で私はポスター会場をぐるっと回ってなんとなく近年の小児科学的な流行をサーチし、シンポジウムにも参加しました。
兵庫県立こども病院の笠井先生の講演はとても面白かったです。
抗菌薬を減らすという運動は大切ですが、市民啓発は焦らず、まずは医療者啓発を進めるべきだという内容でした。
市民啓発が過剰になると、自然思考を引き起こさないか危惧されておられました。
広域抗生剤使いを悪者にせず、狭域抗生剤使いをヒーローにする戦略を提案しており、小児科医っぽい戦い方だと共感しました。
またモニタリングには処方の見える化が必要であり、私はここに薬剤師の介入をお願いできないか考えました。

講演後はあまり時間はありませんでしたが、少しだけ本屋へ。

トリセツを購入しました。
著者の伊藤先生にサインも頂けました!

ついでに弊著も確認しました。

いっぱい置いてあって、これだけ揃えてくれたことを喜ぶべきなのか、あまり売れてないってことだから悲しむべきなのか、複雑な気持ちになりました。
私も伊藤先生みたいにサイン会すればよかったのでしょうか。

企業ブースでは、伝染性軟属腫に有効だというクリームが興味深かったです。
試供品をもらったものの、患者さんにいきなり使うわけにもいかず、わが子の誰かがポックスウイルスに感染するのを期待するしかありません。

というあたりで時間切りです。
託児所で子どもを引き取りました。
7歳のお姉ちゃんが下の子をうまく面倒見てくれたようで、3人とも楽しかったそうです。

晩ごはんは、あまつぼというお店で食べました。
17時に行ったこともあって空いてました。
(ここも後から混雑しました)

金沢おでん、加賀野菜の天ぷら、能登牛のしゃぶしゃぶなどおいしく頂きました。
日本酒も少し頂きましたが、天狗舞 天(タカ)というお酒が気に入りました。

翌日は兼六園と金沢21世紀美術館に行って、お蕎麦屋さんに寄って、金沢駅でお土産を買って帰りました。
兼六園や21世紀美術館の広場は子どもたちも喜んでいました。

帰りはまたピカチュウのDVDを見ながら帰りました。

子連れ学会参加で気づいたこと

正直なところ、もっと学会に参加したかったという思いはあります。
興味深いシンポジウムはたくさんありましたし、懇親会にも行きたかったです。
子連れであることでどうしても断念せねばならず、心残りがあったことは事実です。

ですが、熱意のこもったポスターに囲まれたり、聞きたかったシンポジウムに参加できたり、ちょっとした短い時間だけでも参加できたことで、小児科医としてのモチベーションが上がりました。

子連れ学会参加を実際にしてみて気づいたことがあります。

  • 勉強とエンジョイの配分
  • 子連れ学会参加の成功の指標

まず、勉強1割、エンジョイ9割という配分で計画を立てましたが、もう少し勉強を増やせそうに感じました。
たとえば、2日目も託児所を2時間ほど予約すれば勉強2割にできます。
ただこういう調整は、一度子連れ学会参加をしてみないと分からないでしょう。
最初はほとんどエンジョイ目的で参加して、少しずつ勉強のウェイトを増やしていく戦略もいいのかなと思いました。

次に、子連れ学会参加のアウトカムを考えたとき、成功か失敗かを判断する指標がいくつかあると思いました。
その中で、私のアウトカムは子どもも親もどちらも楽しめたかどうかだと気づきました。
7歳の長女が「また学会に行きたい」と言っていたので、今回の子連れ学会参加は成功だったのでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、アメリカ心臓協会PEARSインストラクター。神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、兵庫県立柏原病院小児科医長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。