12歳以上では、ゾフルーザがタミフルより優れる可能性。

インフルエンザに対するお薬はいくつかあります。
その中でもっとも新しいのがゾフルーザです。
ゾフルーザは2018年3月から販売開始されました。

発売当初、まだ知見が少ないこともあり、私もその使用に慎重な立場でした。
2022年に出版した拙著でも、このように記載しています。

バロキサビル(ゾフルーザ)については、本書での解説は差し控える

めざせ即戦力レジデント! 小児科ですぐに戦えるホコとタテ 小児科ではコモンなディジーズの診かた p219

2026年時点で販売から8年経過し、ゾフルーザには様々な知見が加わりました。

今回は、そのうちの1つを紹介します。

ゾフルーザは、タミフルより有効なのか

Real-world effectiveness and safety of Baloxavir Marboxil or Oseltamivir in outpatients with uncomplicated influenza A: an ambispective, observational, multi-center study. Front Microbiol. 2024: 15: 1428095.

全文、無料で読むことができます。

12歳以上の、合併症のないインフルエンザを対象とした中国の多施設共同・観察研究です。

ゾフルーザ群330人とタミフル群179人とを比較します。
インフルエンザの解熱までの時間は、ゾフルーザ群で18時間、タミフル群で30時間でした。
症状消失までの時間は、ゾフルーザ群で28時間、タミフル群では48時間でした。
有害事象については有意差がありませんでした。

結論として、発症後12-48時間のインフルエンザ患者にはタミフルよりゾフルーザのほうが適している可能性を示唆しました。

日本感染症学会の提言

日本感染症学会の「ゾフルーザの使⽤についての提⾔ 2025/26シーズンに向けて」では、下記の追加がありました。

バロキサビルによる治療効果はNAI(タミフルなど)に優ります。

キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬 バロキサビル マルボキシル(ゾフルーザⓇ)の使⽤についての提⾔ 2025/26 シーズンに向けて

なお今回紹介した論文は、上記提言の参考文献16に該当します。

私の解釈

今回紹介した論文は、観察研究です。
状況が変われば結果も変わる可能性があり、確実にゾフルーザが有効とはいえません。

また、12歳以上の対象とした試験ですので、少なくとも11歳以下の子どもに対してはゾフルーザ優位とは言えないでしょう。
子どもは内服後に嘔吐してしまうことが多いため、ゾフルーザの「1回で内服終了」というのはデメリットにもなりえます。

それでも、12歳以上のインフルエンザ患者にとって、ゾフルーザは「1回で終わるので楽」というメリット以外に、「多剤より効くかもしれない」という知見が加わったことは、臨床上大きなインパクトであると考えます。

ABOUTこの記事をかいた人

小児科専門医、臨床研修指導医、日本周産期新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命法インストラクター、神戸大学大学院医学研究科内科系講座小児科学分野に入局。現在、おかもと小児科・アレルギー科院長。専門はアレルギー疾患だが、新生児から思春期の心まで幅広く診療している。